歌をつくる人にまつわる話
The Story of Songwriters

(29) ソング・ライターとコンビネーション

作詞家と作曲家の絶妙のコンビというのがあります。もちろん、歌によっては作詞・作曲とも一人二役をこなしてしまう人も少なくありません。作詞・作曲を共同でする場合もあります。あらためて有名なコンビについて紹介しておきたいのです。

最初に取り上げなければならないのが、ガーシュイン兄弟です。Ira Gershwin(兄)とGeorge Gershwin(弟)であります。

”The Man I Love”、”'S Wonderful”、”Liza”、”But Not For Me”、”Embraceable You”、”I Got Rhythm”、”I've Got A Crush On You”、” Love Is Here To Stay”、”Someone To Watch Over Me” などはとくに好きな歌です。


George and Ira Gershwin


Rodgers & Hart と二人をいっぺんに呼ぶ呼称があります。Richard RodgersとLorenz Hartで、これも名コンビといわなくてはなりません。25年も一緒に歌作りをしていたのです。Rodgers & Hartという場合は、どちらが作詞、どちらが作曲と決まっているわけではないのです。一緒に唄いながら歌作りをしていたのでしょう。いいですねえ。
”Manhattan”、”My Heart Stood Still”、”Isn't It Romantic?”、”It's Easy To Remember”、”There's A Small Hotel”、”Lady Is A Tramp”、” My Funny Valentine”、”Bewitched”、” Where Or When”、” Blue Moon ”などはこのコンビの作品です。


Rodgers & Hart


Hartが1943年に49歳で亡くなってから、Rodgersは旧友のOscar Hammerstein IIとコンビを組み、だれもが見に行ったミュージカル映画でも有名な歌を書きました。
”The King and I,”” South Pacific”、”Oklahoma”、” The Sound of Music” などはいつまでたっても記憶から薄れることのないものばかりです。


Rodgers & Hammerstein


Oscar Hammerstein IIはそれ以前はJerome Kernとのコンビでも知られています。古い名作ミュージカル”Show Boat”の”Ol' Man River”はずっしりとくる重い歌です。唄うにも一汗かかなくてはなりません。”Last Time I Saw Paris ”もこの二人の歌です。

アメリカのミュージカル界をリードしてきた重鎮です。


Oscar Hammerstein II and Jerome Kern


Harold ArlenはTed Koehlerとのコンビで1930年代初めに、”Between The Devil And The Deep Blue Sea”、” I've Got The World On A String”など、1940年代にはJohnny Mercerとコンビを組んで、”Blues In The Night”、” Come Rain or Come Shine”、”One For My Baby”を出しています。


Harold Arlen & Ted Koehler


Johnny Mercerは売れっ子作詞家ですからたくさんの人とコンビを組んでいます。たとえば、Duke Ellington, Gordon Jenkins, Harry Warren, Hoagy Carmichael, Jimmy Van Heusen, Victor Schertzingerら名作曲家とのコンビを組んでいますが、Henry Manciniと60年、61年と連続して”Moon River”、”Days of Wine and Roses”でオスカーを獲得しました。Johnny Mercerは自身で作曲をいたしますから、一人で作詞・作曲でヒットを飛ばしています。”Dream”、”Something's Gotta Give”、”I Wanna Be Around ”はそんな歌です。


Johnny Mercer


JohnnyといえばJohnny BurkeとJimmy Van Heusenのコンビも有名ですね。1930年代から1950年代にかけて、”Imagination”、”Polka Dots And Moon Beams”、”Moonlight Becomes You”、”It Could Happen To You”、”Like Someone In Love”、” But Beautiful”、” Here's That Rainy Day”などの名曲を書いています。Van Heusenはフルタイムのコンビだったのです。

VanHeusenはSammy Cahnとシナトラが唄う歌を書きはじめました。Johnny Burkeが心臓を患って健康を損ない、一緒に仕事ができなくなったからです。


Jimmy van Heusen & Johnny Burke

Al DubinとHarry Warrenのコンビは1930年代の映画の主題歌でいい曲ばかり書いています。Oscarも三度獲得しています。最初が1935年Gold Digger of 1935という映画の”Lullaby of Broadway”です。”The Boulevard of Broken Heart”は、”One Rainy Night in Tokyo”という邦曲の下敷きになった曲に違いありません。ほとんど盗作と言えるものです。

Mack GordonとHarry Warrenという組み合わせも1940年代初めに、”At Last”、”Serenade In Blue”、”There Will Never Be Another You”、”The More I See You”など、これもすばらしい歌ばかりです。


後列左 Al Dubin, Mack Gordon  
Harry Warren(右端)


Jimmy McHugh and Dorothy Fields

Jimmy McHugh とDorothy Fieldsのコンビも古き時代の名コンビです。”Exactly Like You”、”I Can't Give You Anything But Love”、”I'm In The Mood For Love”、”On The Sunny Side Of The Street”は、すべて1920年代から30年代にかけて書いた歌です。

当初、Jimmy McHughはIrving Berlinの音楽出版会社で働くことになりましたが、上手くいかず、Jack Mills Musicでマネージャーとなり、Irving MillsとGene Austinと一緒に曲を作り出しました。Dorothy Fieldとチームを組んだのは1926年以降です。

30年代といえば、Irving MillsDuke Ellingtonとのコンビもあります。”It Don't Mean A Thing”、 ” In A Sentimental Mood”、 ”Solitude”、 ”Sophisticated Lady”、 ”Caravan”なんていうところがこのコンビの歌です。Irvingの弟がJackで一緒に音楽出版会社Mills Musicを立ち上げました。


Irving Mills(1894-1985)

Duke Ellington(1899-1974)

Victor YoungとNed Washingtonは映画のための歌を数々作っていますが、いいものばかりで皆スタンダードの名曲になっています。Maxine Sullivanがよく唄った”A Hundred Years From Today”は1930年代の初期の歌ですが、”Love Letters”、”Stella By Starlight”、” My Foolish Heart”などは1936年以降パラマウント映画にたずさわっていた1940年代後半の大ヒットです。

Victor Youngの写真は見たことがありませんでした。この写真は1920年代の古写真を集めている人のサイトで見つけたものです。おそらく、ポーランドからアメリカに戻って来て、ハリウッドに落ち着く以前のものと思われます。

同姓同名の別人かもしれません。その件に関してはウェブマスターに問い合わせたところ、写真の提供者に問い合わせてみるという返事をもらっています。もし、わたしが探しているVictorYoungの写真であったら、大変な掘り出し物と言わなくてはなりません。期待は半々ですねぇ。

いや、本物でしたよ。


Victor Young and Ned Washington

Loewe and Lerner

Alan Jay Lerner(作詞)とFrederick Loewe(作曲)のコンビもミュージカル作品を残してくれました。1947年の”Bigadoon”が最初の作品ですが、1956年の”My Fair Lady”は大成功を収めました。

Loeweはベルリンで生まれたオーストリア人で、1925年にウィーンのミュージカルスターだった父親に連れられてアメリカにわたってきました。

1942年にコンビを組み、作品を書き出しましたが、それまではナイトクラブのピアニストから始まり、ボクサーまでやったという変わり者です。


Stephen Sondheim and Leonard Bernstein

1957年のブロードウェイ・ミュージカル「Westside Story」は1959年の「Sound Of Music」と並んで大ヒットとなり、60年代に映画にもなり大衆にも知られた代表的なミュージカルとなった。

バースタインはアメリカ人では珍しいクラシックの指揮者としても有名だが、ミュージカルの作曲者としてもその名を知らぬ者はない。

ソーンダイムはウェストサイド物語の作詞をしているが、作曲家としても素晴らしい力を発揮する。 


1960年代に入ってイギリス出身の2人組みLeslie BricusseとAnthony Newlyがアメリカに渡ってきました。

彼らの作った歌やミュージカルをサミー・デイビスJr.が好んでよく唄っていました。”What Kind of Fool Am I”、” For Me”、”The Joker”、”The Candy Man”、” Who Can I Turn To?”などがあります。



Leslie Bricusse and Anthony Newly


Sammy Cahn



Gus Kahn



Jerome Kern


Donald Kahn
最後に"カーンズ Four"です。「なんだ、それは」ですが、この稿でも出てきたJerome Kern, Sammy Cahnの他に1930年代から1940年代に活躍したGus Kahn(瓦斯管)という有名な作詞家がいます。かれはドイツで生れシカゴに移民しました。Isham Jonesとの歌で”I'll See You In My Dreams”、”It Had To Be You”などを書いています。これで、3つ鐘が鳴り合格しましたね。ところがもうひとりカーンがいます。Gus Kahnの息子でDonald Kahnです。”A Beautiful Friendship ”を作曲しています。この歌はおびただしい数の人たちが自分のアルバムに入れています。特に有名なのはキング・コールの歌です。これでカーンズ・フォーになりましたので、麻雀なら本当の「カン」です。

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