歌をつくる人にまつわる話 The Story of Songwriters |
(60) Jerome Kern と Otto Harbuck Smoke Gets In Your Eyes |
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ジェローム・カーンの話はあちらこちらに出てくるが、独自のページを書いていないことに気がついた。ニューヨーク生まれの大作曲家だが、父親はドイツから移民してきたドイツ系ユダヤ人。20歳の頃からブロードウェイの劇場のリハーサル・ピアニストをやったり、Tin Pan Alleyの出版社でSong-pluggerをやっていた。 Song-pluggerとは譜面出版会社のデモルームでピアノを弾いて、時には弾き語りもしてサンプルを聞かせるミュージシャンをいう。 ジェローム・カーンの初期の曲はほとんどが劇場で演じられるミュージカルものが主体といってよい。生涯の大ミュージカルは「SHOW BOAT」であり、その中の”Ol' Man River”は実に重い曲だ。現在でもリバイバルされる唯一の大作である。 |
後半はハリウッドに移り、映画音楽を手がけたが、1945年にはニューヨークに戻った。その秋に57丁目のPark
Avenueの角で脳出血で倒れ、病院に担ぎ込まれた。旧友のOscar Hammerstein IIが臨終を看取ったということである。 |
Otto Harbuck(1873-1963) |
特別に好きだったのは”Yesterdays”であった。作詞はOtto Harbuckだった。ビートルズの兄さんたちが恥も無く”Yesterday”なんてタイトルの歌をヒットさせた。 「なんて無神経な奴らだ」 と若かったわたしは苦々しく思っていた。 ジェローム・カーンの作品の中で私だけかもしれないが、珍しいと思うのは、”Smoke Gets In Your Eyes”である。この歌も2人の作品だ。1933年にGertrude Niesen(1911-1975)という歌手が歌ったのが最初だという。 |
愚かにも若い頃は、Buck RamがPlattersのために書いたオリジナルだとばかり思い込んでいた。 「へー、この歌はジェローム・カーンとオットー・ハーバックだったのか」と気がついたのは随分後々のことオジサンになってからである。 |
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by Gertrude Niesen ■ ■ ■ ■ ■ (2013/7/9) |