ジャズと数学 |
カメラの絞り談義 | |
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2日前の日曜日の午後、銀座のBRBで石川さんという大先輩の主催するプライベート・パーティがありました。出演者は五十嵐明要、伊原康二、田辺充邦、鈴木史子といった人たちです。 贅沢なのはハモンドオルガンB3を持ち込んでのライブで五十嵐さんもみんな嬉しそうに演奏をしました。 ここでは「どんなライブだったか」は置いておいて、面白いカメラの話をすることにしましょう。 |
当日の出演者のドラマー、木村由紀夫が面白いカメラ持って現れたのです。この話は、由紀夫ちゃんのページに書いてあります。⇒由紀夫ちゃんのページ(ozsons-pit) さて、このページではカメラ談義の続きです。マヌエラの久保田写真館と言えば、所沢のミュージシャン達のゴッドファーザーとして名高い久保田さんです。マヌエラでの写真を一手に引き受けて撮り続けてくれて久しいです。 そこで、木村由紀夫ちゃんのページに「写真機の話を書いたぞ」と知らせたところ、
と返信が来ました。100と言うのは、シャッター速度で1/100秒ということで、5.6 8 11とあるのは、絞りの値(F値)のことです。現在のカメラはほとんどがオートになってしまいました。Autoに設定しておくとシャッター速度も絞りも、距離を合わせることも無く、ただただシャッターボタンを押せば「シャカ、シャカ」と写真が撮れるのです。 カメラの中にはフイルムは入っていません。デジカメですから画像はメモリーチップに書き込まれるだけです。家に帰って、PCに移して編集をしたり、トリミングをしたりしてプリントすれば写真が出来上がります。メール添付で送ることも簡単です。 シャッター速度は100といえば、1/100秒。250といえば、1/250秒と解りやすいのですが、絞りの値はほとんどのカメラで、絞りを調節するリングに、
という目盛りがあります。この数字は√2倍刻みに並んでいるのですが、そのことに普通の人は気がついていません。数学的には公比rが√2の等比級数(あるいは等比数列)であるといいます。 数列には、差が一定である等差数列があります。「そうだった」と思い出した人と、思い出したくもない人とがいます。うちの娘などは後者です。 絞りとは、フィルムへの入光量を調節するための穴を言います。穴を大きくしたり小さくしたりするのです。よく人間の黒目の虹彩に例えられます。我々の眼球は明るいところでは瞳孔を小さくし、暗いところでは大きくして入光量を多くしようとします。 カメラのレンズは人間の目玉を真似して作ったことがわかると思います。 |
カメラのレンズの半径r=1だとします。 面積 S=πr2 ですから r=1の時は S=πとなります。 面積を半分にするためには、r=1/√2にしてやればよいことが解ります。 |
面積を1/4にするためには、r=1/√4=1/2 となります。この関係を表にしておきます。
てなことになります。カメラの絞りの数字がFの欄に出てきました。絞ることによって口径が小さくなり、光を取り入れる穴の面積がこのように小さくなっていきます。 口径の面積が1/2になれば、レンズから入る光量1/2になります。つまり、入光量は穴の面積に比例します。F=1(開放)の時の入光量=1とすると、絞ると入光量は下図のようになります。 絞り値(F値)を√2 倍にすることを「1段絞る」といいます。1段絞ると入光量は1/2になります。2段絞れば1/4に、3段絞れば1/8になります。 F=22では入光量は1/512=0.00195となります。22まで絞ることの凄さを感じていただけますでしょうか? 絞りには光量を調節するだけでなく、もう1つの重要な効果があります。絞れば絞るほど焦点深度が深くなります。絞りを開くと、ピントの合う距離の範囲が浅く背景はボケます。絞り込むと背景にまでピントが合います。今のカメラでも高級機では、絞りを優先させるとかシャッター速度を優先させるとか決めることが可能てす。(2010/10/5) |