歌をつくる人にまつわる話 The Story of Songwriters |
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Johnny Mercer
I Wanna Be Around ( in English, click here) |
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Johnny Mercer(1909-1976) |
ジョージア州サバナ生まれの卓抜した作詞・作曲家です。”Mr.
Americana”と呼ばれるジョニー・マーサーの詞はウィットにとみ、ロマンティックで美しいのです。ヘンリー・マンシーニと”Moon
River”, ” Days Of Wine And Roses”など立て続けにオスカーをとった曲をはじめ、多くの映画音楽を手がけています。
ビジネスマンとしても成功者で、おなじみキャピトル・レコードの設立者の一人でもあります。 同時にとんでもない名シンガーであることをご存知でしょうか。1930年代終わり頃からベニー・グッドマンやトミー・ドーシー楽団などと盛んにレコーディングしていました。はじめてマーサーの歌ったレコードを見つけたときは狂喜しました。南部訛りのある英語で唄います。たくさんCDが出ていますから聴いてみてください。女声のキー(低いということ)で2オクターブを軽やかにうたっています。写真は若き頃と後年のマーサーですが、私はこのおじさんが好きでたまらないのです。この悪戯っぽい目が。 |
生涯に手がけた作詞、作詞作曲は1500曲に及び、何でもこなすそのマルチタレント振りとセンスのよさは一緒に仕事をした人達の数にもあらわれます。どれだけの人達がマーサーを慕っていたことでしょう。 この完全無欠に見えるマーサーは楽譜が読めなかったのです。一本指でピアノを弾いては作曲したのだそうです。マーサーは音楽の専門教育を受けていないのです。 彼の人柄を物語る逸話があります。1959年にオハイオに住む美容師、Sadie Vimmerstedtという女性から歌のアイディアとなる一行の文、”I want to be around to pick up the pieces when somebody's breaking your heart”がマーサーの所に送られてきました。 「誰かが君のことをハートブレークしている時、僕はそのかけらを拾い集めるために君のそばにいたい」、日本語ではうまくいい現せませんが、この一行はマーサーに歌のイメージを創造するに十分なものだったものと思います。英語の表現力ってロマンチックです。 マーサーはこのアイディアから”I Wanna Be Around”という歌を完成させ、63年にトニー・ベネットが唄いヒット・ソングとなりました。マーサーは彼女の名を共作者に連ね、彼女に年間およそ3,000$の収入の道を開きました。やっぱり、楽しいおじさんです。わたしは昔のトニー・ベネットの歌で憶えましたが、最近のややアップ・テンポの歌もすばらしく、こちらのバージョンでも真似して唄っていました。 ⇒ 後日談
2009年の11月のある日、宮尾さんとジョニー・マーサーの話になりました。マヌエラ・シスターズが”Something's Goota Give”を唄ったからです。作詞だけでなく作曲にも非凡で”Dream”もあると話題になりましたが、このページで取り上げた”I Wanna Be Around”もそうだったと翌日メールをしました。 そうすると、クロスビーが唄った”I'm An Old Cowhand ”もあるとメールが帰ってきました。たくさんあるのです。”G.I.Jive”なんていうのも思い出しました。面倒だから、全部書いておきます。2009/11/22
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