エミール・アレは1937年のシャモニーのアルペン競技世界選手権でフランス初の3冠王(滑降、回転、複合)となった名スキーヤーである。その1年前の1936年にはドイツ、ガルミッシュで冬季オリンピックがあったのだが、複合(滑降+回転)で銅メダルをとっている。冬季オリンピックでアルペン競技が初めて正式種目となった年である。昭和11年のことだから、そんなに古い話ではない。
このスキーの教則本を手に入れたのは1956,7年だったと思う。55年も前のことだが、あらためて眺めてみると80年も前に何という洗練された滑りをしていたのかと感慨深いものがある。本書の存在も知らない世代の人たちにどんな内容だったのかを紹介しておくことは、こんな本を昔々に眺めてはため息をついていた爺さんの役目であろう。
エミール・アレは現在、100歳で健在とのことである。これまた素晴らしい。