ジャズとコーラス

(39) Brothers Four Green Fields


The Brothers Four(original)
Mike Kirkland John Paine Bob Flick Dick Foley

この章ではジャズ・コーラスを語ってきたのですが、キングストン・トリオのDick Raynoldsが2008年に亡くなったり、翌年にはPPMのマリーが亡くなったり、1960年代のフォークソング・ブームを引っ張ってきたグループのメンバーが欠けていきました。

それで、ジャズ・コーラスでなくても書いておこうとなったわけです。

同じような理由で、ソウルのコーラスについても取り上げて書きました。フォー・トップスのモータウン・サウンドを永い間歌い続けたLevi Stabbsも亡くなりました。

アメリカの太平洋岸の一番北にワシントン州シアトルという港町があります。Microsoftの本社やロッキードの本社もある大都会ですが、この町の外れにワシントン大学があります。ブラフォーはこの大学の同窓生で1956年に歌いだし、1958年にシアトルのColony Clubでプロとして出演するようになりました。このクラブで歌うようになったきっかけがミステリーとして語り継がれています。

Colony Clubの秘書と名乗る女性からオーディションをやりたいとの電話がメンバーにあったのですが、実はColony Club側にはそんな事実は無く、そのままでは可哀相だからとオーディションをやることになり、目出度くブラフォーはデビューしたというのです。1959年にはサンフランシスコに移り、Dave Brubeckのマネージャー、Mort Lewisの世話でコロンビア・レコードから”Green Fields”が1960年1月にリリースされ大ヒットとなりました。

私が大学1年のときです。早速、この歌を歌いました。

キングストンブラフォー、その後にPPMが続きます。とても健康的なフォークソングが流行りだしました。その頃、ベトナム戦争が始まりました。ベトナムの共産化を嫌ったフランスとアメリカが南ベトナム傀儡政権を立て応援しました。しかし、ついにはアメリカの参戦、北爆となりました。アメリカは泥沼に足を突っ込んでしまいました。

反戦運動が高まりました。フォークソングの世界にはボブ・ディランジョーン・バエスらが反戦歌を歌いました。フォーク・コーラスの連中も大きな影響を受けたと思います。ボブ・ディランは途中からフォークギターをエレキに持ちかえ、見るからに薄汚い姿でロックを歌っていました。


Brothers Four(current)
Mark Pearson, Mike McCoy, Bob Flick, Karl Olsen


Mike McCoy    Mark Pearson    Karl Olsen   Bob Flick

    

50年代末から60年代にかけて、私は大学生でした。東京オリンピック以前は現在の代々木公園のあたりは「ワシントンハイツ」という米軍の家族が住むキャンプがありました。私達はそこに住む米軍将校家庭に毎週英会話を習いに行っていました。

最初はMrs. Stanfordが教えてくれました。綺麗なおばさんでした。面白い話をお教えしましょう。このような英会話レッスンを開発したのは、私の先輩でもあり、われわれの学生時代に学科の助手を務めていた川瀬武志先生です。ワシントンハイツには原宿ゲート、渋谷ゲート、参宮橋ゲートがありました。

渋谷ゲートで暫らく立っていると、渋谷のデパートに買い物に行く主婦がゲートから出てきます。綺麗で親切そうなご夫人を物色して直撃します。「週に一回、英会話教室を開いてくださいませんか?」

月謝はこの当時で1000円でした。でも、数人の生徒を週に一晩教えれば数千円のお小遣いになります。初任給2万円にもならない頃ですから喜んでやってくれました。

Stanford一家が帰ることになり、後任の先生にとMrs. Polleyを紹介してもらいました。1964年には東京オリンピックが開催されることになり、ワシントン・ハイツは返還され、オリンピックの選手村として使われ、後に代々木公園となったのです。ポーリーさん一家はジョンソン基地に移りました。行き来はしていましたが、遠いので毎週通うことはできなくなり、週に1回の英会話もやらなくなりました。

ポーリーさんのご主人は空軍の大尉でしたが、アメリカがベトナムに参戦して間もなくポーリー大尉はベトナムに飛ばされました。その後、ハワイの基地に何年かいましたが、ハワイの家にはアメリカの帰りに寄ったことがありました。ポーリさんは大佐になっていましたが、退役してカリフォルニアに帰りました。(2011/5/15)


  INDEX     PREVIOUS NEXT