歌と歌手にまつわる話

(166) 20年代は歌の宝庫 Sleepy Time Gal


Art Landry Orchestra, 1925

日本ではメディアに流れてこなかった歌の1つだ。

1924年に書かれた可愛らしい歌がある。20年代はシカゴのアル・カポネの時代、喧騒の20年代とよばれ、禁酒法の真っ只中の頃である。

シカゴではSpeak Easyと呼ばれたギャングの地下モグリ酒場でジャズが育った。

lyrics : J. R. Alden and Ray Egan /music : A. Lorenzo and Richard A. Whiting 

”Sleepy Time Gal”という歌は初めはArt Landry自身が自分のバンドで歌っている。同年に生まれてヒットした歌は”Somebody Loves Me”、”It Had To Be You”、”California, Here I Come”などである。こういうヒットソングの陰に隠れたのかもしれない。

同年暮にGene Austinがレコーディングしている。これはVerseから歌っている。珍しい。

次の年にBen Bernie & His Hotel Roosevelt Orchestraが吹き込んで、’26年にHit Chart No.1になっている。


The Four Knights
Clarence Dixon(bari) Gene Alford(lead) Oscar Broadway(bass) John Wallace(2nd/gt)

今、オールディーズと呼ばれるポップスが盛んになった頃、1954年にFour Knightsという黒人Doo WopグループがSpotlight SongsというLPの中で歌った。’57年頃にCapitolから日本版が発売されたのをヤマハで見つけて買って聴いた。これは、昔のハイテンポな歌でなく、ミディアム・スイングでバスのOscar Broardwayをフィーチャーして、アレンジもソロも秀逸だった。

53年にはBing Crosby、56年にはDean Martinが歌い、何枚かのアルバムに入っている。

さらに面白いのは、あのプラターズがFour Knightsの真似をしたのか向こうを張って、1957年にHerb ReedのソロでMercuryからシングルを出した。Four Knightsのを聴いて2番煎じをやろうとしたのだろう。Herb Reedには悪いけど、声はやたら低いが歌は下手である。音程もひどい。聴くのがしんどくなる。さらにバック・コーラスも能がない。よくこんな駄作をMercuryが発売したもんだ。

というわけで、わかGはFour Knightsの”Sleepy Time Gal”が一押しである。オージーサンズのくりGにバスソロを歌わせようと2003年にFour Knightsスタイルの譜面を書いた。一度だけ横浜BarBarBarでやったことがあるのだが、4年経っても歌詞を覚えられない。途中で「うーふー」なんていう。W大の先輩だった北Gは怒鳴りましたよ。「ちゃんと、歌詞を覚えろ!!」と。そんなことだから、まこGがもう二度と歌わせようとしなかった。

オージーサンズで歌うためにパート別サンプルMDを作ってみんなに聞かせた音源が残っている。VIDEO仕立てにしてみた。

 

わかGの一人コーラス

(2014/7/21)


⇒ Easy Street

 


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