ハノイでは、オペラハウスでもベトナム国立音楽アカデミーのホールでも、客席の並び方に惑わされます。
図は、オペラハウスの3階の席の並びですが、上手(舞台に対して右手)の席は、入り口から02・04・06・08・10・・・と言う具合に偶数が、下手(舞台に対して左手)の席は、01・03・05・07・09と言う具合に奇数が並んでいます。
ですから、04と06は隣席ですが、04と05は、右と左にとんでもなく離れている訳で、慣れないと、「アレッ、二枚買ったのに、04と06じゃあ、これ隣じゃなかったの?」と、悩むことになります。
これは何故かと言うと、(舞台に向かって)右手(=上手)は偶数、向かって左手(=下手)は奇数と言う、「フランス流」の決め方になっているのです。
道路の住所の番号の付け方も同じで、添付した地図は、ハイ・バー・チュンというメイン通り(有名ホテルや電気街が並んでいる通り)の住所の表示ですが、市の中心から見て、道路の右側は22・24・34・38のように偶数に、左側は29・31のように奇数になっているのです。
ただ建物の順番で番号付けしていますから、建物の幅の大小によって道路の右と左では番号がずれて来て、右は38だけど左は29のようになってしまう事になります。
もし38の建物が壊されて、その幅に3軒の家が建つとすると、今度は38A,38B,38Cのように番号付けされる事になるので、その後の40,42,44・・の番号には影響を与えません。
この住所の付け方は極めて合理的で、その住所が奇数なら、その家は(市の中心から見て)道路の左側に、偶数なら(市の中心から見て)道路の右側にある訳です。ですから、道路の名前と住所の番号を言えば、どんなタクシーでも間違いなく目的地に到着します(ただし外国人だとみると、わざわざ遠回りをして、メーターを稼ごうとするタクシーが多いので、その点は要注意なのですが)。
この住所表示はパリでも全く同じで、パリの住所表示も全て、(凱旋門から見て)左側が奇数に、右側が偶数になっていますね。
ですからコンサートホールの場合も、自分の席が偶数なら右の入り口から入ればよいし、奇数なら左から入れれば良い事になります。そうすれば、中に入ってから、席を探すのに行ったり来たりしないですむでしょうか?
このような「フランス人の合理性」には、時に驚かされますが、それにしては、一緒に仕事をするときに感じる、あの「フランス人の非合理性」は、いったい何なのでしょうか?
以前、この「フランス人の非合理性」の感覚をあるイギリス人に言ったら、「そうだろう、だから俺たちはやつらと100年も戦争したんだ」と、息巻いておりましたっけ。(2016/01/18)
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