SUEのエッセー

行った事のある街々(V)

その他の国々


「T.アメリカ編」と「U.ヨーロッパ・中近東編」に引き続いての、今回は、「V.その他の国々」です。引き続いて読んでいただければ、嬉しく存じます。

【ブルネイ】
「ブルネイ」は、カリマンタン島(我々には「ボルネオ島」の呼び方の方が分かり易いでしょうか)の北部に位置する、立憲君主制国家です。ちなみにカリマンタン島の約北半分はマレーシアの、約南半分はインドネシアの領土です。

以前に「楽友」でご紹介した「ASEAN」の一員で、石油や天然ガスの資源を多く埋蔵している「豊かな国」です。1941年には資源を求めた日本に侵略され、1945年までの間は日本の統治下にありました。僕は日揮に在職中に、マレーシアの北部のビンツルと言う街で、シェルの「天然ガスからガソリンを合成するプラント」の設計と建設に従事していて、現地に駐在している間にブルネイを訪問する機会が有りました。

ブルネイの2015年の一人当たりの国民所得は、37,320USDで日本を上回って、アジアではシンガポールに次ぐ高所得国でした。ただ、石油と天然ガスがGDPのほぼ半分、輸出のほぼ全てを占め、それに依存し過ぎた経済構造になっています。食料品もほとんどは輸入に頼っています。なお、所得税は有りません。

マレーシアとの国境は川で区切られていて、マレーシアからの人口の流入を防ぐためか、橋は架けられておらず、マレーシアからブルネイには、フェリーで入らなければなりません。マレーシアで車を運転していると、路面(舗装)が凸凹で参るのですが、フェリーを降りてブルネイに入った途端に舗装が鏡のように滑らかになり、国の豊かさの差を感じさせられます。


<ブルネイのLNGプラント>

【タイ】
タイは立憲君主制国家で、ASEANの加盟国、2017年の人口は6981万人です。

国土はマレーシア(南)、カンボジア(東)、ラオス(北)、ミャンマー(西)と国境を接し、東南側はタイランド湾、西のアンダマン海、マラッカ海峡をはさんで、インドネシアや、インド領ニコバル諸島と向かい合っています。2014年に国軍が軍事クーデターを起こしそれ以降軍事独裁政権が継続しています。21世紀に入っても、「不敬罪」が存在する数少ない国です。

タイにとって、日本は最大の貿易額と投資額、援助額を持つ国で、トヨタ、ホンダ、日産、いすず、日野などの自動車製造会社と多くの関連企業、それに家電、空調機器企業、などをはじめ、2015年時点で、1700社以上の日本企業が進出しています。タイ国内で暮らす外国人のトップはアメリカ人で、続いて、中国人、オーストラリア人、イギリス人で、日本人は第5位で6万7千人だそうです。

バンコク首都圏内では、BTS(バンコク・スカイ・トレイン)と言う高架鉄道や、MRT(バンコク・メトロ)と呼ばれる地下鉄が開通し、深刻であった交通渋滞がかなり改善されました。

王室はじめ、タイ国内のほとんどは仏教徒で、仏教徒の男子は一生に一度は出家するものとされているそうで、街のどこでも多くの「僧侶」にお目にかかります。

タイのバンコクは、シンガポールと並んで、東南アジアの中でも最も医療のレベルが高いので、ハノイの駐在員も、高度な医療を受けに、よくバンコクまで行っていました。

バンコクの街中は、寺院や仏像で溢れていますが、その中でも特に素晴らしい、全長46mの、ワット・ポー(寝仏寺)の金色の大寝釈迦仏をご紹介しておきます。


<バンコク=BTS>


<ワット・ポーの大寝釈迦仏>

【カンボジア】
カンボジアは、インドシナ半島南部に位置し、やはりASEANに加盟する立憲君主国家で、南はタイランド湾、西はタイ、北はラオス、東はベトナムに接する、人口1500万人前後の国です。

9世紀にクメール王朝が成立し、12から13世紀に最盛期を迎え、この時期にあの素晴らしいアンコール遺跡が建造されます。

アンコール遺跡はシェムリアップの北側に位置しますが、日本からシェムリアップへ行くのに、ハノイを経由して、ハノイとアンコールワットの両方を訪れるツアーを利用するグループが多くおられます。

個人的な感触ですが、アンコールワットは訪れる価値が充分にある遺跡です。

元々はヒンズー教の寺院として作られましたが、16世紀後半に仏教寺院に改修されています。クメール建築の傑作で、カンボジアの国旗の中央にも描かれています。

特に、朝ちょっと早起きして、登る朝日の中の素晴らしいアンコールワットを鑑賞することをお勧めします。

別の爽やかな話題ですが、マラソンランナーの有森裕子さんが、NPO法人を設立して、「アンコールワット国際ハーフマラソン開催」などの社会貢献活動に取り組んでいます。

この大会は、地雷で手足を失った人たちに義足などを贈るために、参加者の申込金が寄付されるチャリティマラソン大会だとの事です。素晴らしい事ですね。

あと【これは“負”の話題なのですが】カンボジアを語る時には、「クメール・ルージュ」と「ポル・ポト」と「キリング・フィールド」の話題を避けては通れません。

「クメール・ルージュ」は、民主カンプチアの指導者となった「ポル・ポト」の理想実現とその独裁と大量虐殺を支えた、かって存在したカンボジアの政治勢力、および武装組織の俗称です。1975年4月のプノンペン陥落をもって「ZEROから始まる新しい時代」として、殺戮と破壊の限りが尽くされ、カンボジア各地に「キリングフィールド」という大量虐殺のための刑場が作られ、少しでも学識の有りそうな者、知識人・伝統文化継承者・教師・宗教関係者などが、片っ端から粛清の名目で殺害されました。

この政策は歴史的にも「反知性主義の最も極端な例」とされていますが、カンボジアの各所で、この「負の遺産」を見ることが出来ます。


<アンコールワット>


<キリング・フィールド 慰霊塔>

以上、今回のご紹介3か国をお読みくださって、有難う御座いました。

(2021/5/6)

    


編集部 「連休でも出掛けられない」SUEは何か書くしかない。で、残りの行った場所の紹介です。

これで、暫く音無しの構えでいるかも。(2021/5/6・かっぱ)