歌と歌手にまつわる話 Story of Songs and Singers |
(185) Max Raabe Smoke Gets In Your Eyes |
今晩はあるマダムの誕生会だった。毎年、馬場先門交差点のCentury
Courtに5,60人の知り合いが集まってくる。初めて会ったときは、まだ高校生だった賢いお孫さんがいる。これは3年前の写真だ。
「何年生になった?」 「3年生」 タキシードはBrooks Brothersのを着てくる坊やだ。それがやたらと古い音楽、クラシックが一番好きだが古いジャズの話にも乗ってくる。だから、いつも私の隣の席が彼、雄一君の席と決まっている。おばあ様にそうリクエストするのだ。 今日も”Amazing Grace”の話から始まった。彼は大学の神学部で「教会史」に関する論文を書くのだと言っている。卒業したらオックスフォードに行きたいと。”Amazing Grace”はイギリスの奴隷商船に乗っていた非情の男、John Newtonが乗っていた船が嵐に会い沈没しそうになる。神を信じたこともない駄目男の神への祈りが通じて奇跡的に助かったという。その後、改心して勉強をして牧師となり賛美歌として書いた詩である。 ⇒ Amazing Grace 彼はおばあ様の誕生祝に「シューベルトの野薔薇」を歌った。もちろんドイツ語ですよ。そうしたら「アンコール!」と爺様から声がかかる。雄一君は動ずることなく、「ではJazzから”All Of Me”を」と言って、アカペラのルバートで歌いました。何とも時代離れした21歳です。その彼が、 「マックス・ラーべって知っています?」 という。爺さんは知りません。 「1920年代とか30年代の歌を歌ってるのですよ」 「よし、帰ったら調べてみる」 と言って別れました。 ◆ さて、Max Raabeはドイツ人の歌手でオペラの勉強をしたのだが、ユダヤ系の人が書いた古い歌を古いスタイルで歌っています。当時は退廃的音楽としてナチスから禁止された歌を拾い出しているのです。You Tubeなどにもいろいろアップされていますが、Jerome Kernの”Somke Gets In Your Eyes”を歌っているのを見つけました。なるほど、なるほど。雄一君の好みによく合っているかもしれません。
21歳の孫のような青年に知らない歌手の話を教えてもらいました。日本にはイッセー尾形が紹介し、2006年に来日公演していました。 このドイツの歌手は1962年生まれの若い歌手ですが古めかしいです。(2015/7/15) |