歌をつくる人にまつわる話 The Story of Songwriters |
(59) Leslie Bricusse & Anthony Newly STOP THE WORLD - I Want To Get Off |
|
ロンドンからアメリカにやってきたソングライター・コンビが1961年に”STOP THE WORLD - I Want To Get Off” (地球を止めてくれ―俺は降りたいんだ)という凄いタイトルのミュージカルを書いた。 内容は家族をほったらかしにして仕事には大成功した男が、気がついたときには妻も子供も誰もいない。その時になってはじめて一番大事なものが何であるかに気がつく。しかし、もう遅いのだ。 ”What Kind Of Fool Am I ?”はその最後に歌われる歌だ。 Sammy Davis Jr.は、1978年のニューヨークのリンカーン・センターでのミュージカル公演に30回出演した。 |
さて、サミー・デイビスJr.は父Sammy Davis Sr.と伯父Will Mastinがボードビリアンで、Will Mastin Trioとして4歳のときにデビューした。旅から旅で学校にはほとんど行っていない。初来日は1963年だった。 1980年に芸能生活50年の区切りに、ラスベガスのシーザース・パレスでMEMORIES:The Golden Yearsというタイトルでビッグショーを見せてくれた。例によって、お得意の「物真似」も出てきた。このときは、”As Time Goes By”だった。何とも味な選曲だった。 |
Sammy Davis Jr.(1925-1990) |
ショーの最後に、Stop The Worldのメドレーを歌い締めくくった。これはサミーの全身全霊を打ち込んだミュージカルだった。今、聴いても身が震える思いだ。私が若いころ、サミーの歌ばかり歌っていたのが分かってもらえると思う。 ここで歌われる歌は、Once in a Lifetime、I Want To Be Rich、Gonna Build A Mountain、Life Is A Woman、Someone Nice Like You、What Kind of Fool Am I の6曲である。 ■ ■ ■ ■ ■
サミーはこのショーの終わりにこう言った。また、10年後にこういうショーが出来たら・・・ しかし、10年後はすでに喉頭がんで歌えなくなっていた。しかし、60年のコンサートはロスで開かれた。シナトラが最初に登場した。 「今夜はみんなが君をほめちぎるだろう。褒め言葉をみんなに言われてしまわないうちに出てきたというわけだ。サム、君は私の兄弟だ」 そして、あの”Where or When”を歌った。あの”Where or When”だ。 (2012/9/21) Leslie Bricusse: 'Lyrical genius' of film dies aged 90
|