歌と歌手にまつわる話

(72) 最後のレコーディング  Still There's You
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ミルス・ブラザースは1920年代の初めから唄いだし、20世紀の終わりのころまで唄い続けました。

はじめは4人の兄弟でスタートしたのですが、長男が若くして亡くなり、彼らを育てた父親が20年も息子たちに加わって数々のヒットを送り出しました。

父親の引退後は3人の兄弟だけになりました。60年代に初来日したときは、すでに3人になってからです。これから、歌は脂が乗り切ってくるのです。

しかし、1981年に3人の最後のコンサートがコペンハーゲンのチボリ・ガーデンで行われたのですが、三男Harryはすでに目が見えなくなっていたのです。アメリカに帰り、翌1982年にはHarryが亡くなり、次いで次男Herbertも引退いたします。


Donald Mills(1915-1999)

残された四男Donaldは、2年ほどしてから自分の息子Johnと二人でミルス・ブラザースを続けることになり、1999年、Donaldが亡くなるまでツアー活動をしていました。

Donald Mills が亡くなる1999年に、最後のレコーディングがあります。14曲を親子で唄っているのです。これは"Still There's You"というアルバムに収められています。

その中の一曲は"Still There's You"という曲ですが、詞と曲は息子のJohn H. Mills II によるものです。

この歌を聴いて、背筋がぞくぞくとするものがありました。先に死んでいった自分の兄弟たちに「目を閉じれば・・・今猶、あなたはそこにいる」と唄っているのです。先に逝った兄たち(Johnからすれば伯父さんたち)を思う歌に違いありません。

なんという歌でしょう !!!

さわりだけでも聴いてください。 Still....There's You(mp3)


Donald and his son, John II

爵士樂堂がMills Brothersのサイトを見ていて、Webmasterに上記のCDが欲しいとメールを書きました。

サイトにはミルスのCDなどの販売ページがあるのですが、機能していなかったのです。そこで、Dallasに住むジャズ歌手Craig Thompsonにアメリカで試すように依頼しました。ところがアメリカからでもだめだったのです。最後の手段で、Webmasterのアドレスを探してメールを書いたわけです。

そうしたら、John Mills II から返事が返ってきたのです。日本だから送料を8ドル頼むと。

なんでもやってみるもんですねぇ。おかげでJohn Millsとコンタクトが取れるようになってしまいました。彼は現在、Elmer Hopperと二人でMills Brothersを継ぎ、ツアーを行っています。

こんなことが縁になってJohnとは友達になってしまいました。瓢箪から駒と言ってもいいきっかけで、JohnとElmerの二人が2005年10月に来日しました。まさか会えるとは思っていなかなった二人に会うことが出来ました。(2002/11)


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