歌をつくる人にまつわる話
The Story of Songwriters

(28) Seger Ellis After You


Seger Ellis(1904-1995)


S. Ellis, 1989

1970年代の初めにFour Freshmen group#4が来日し、そのコンサートで初めて聴いた”After You”という歌にすっかり参ってしまいました。

Voices in Modernにもバトラー大学での録音盤にも入っている曲ですが、この歌を書いた作曲家はS.Ellisとあるだけでした。調べまくったところSeger Ellisのことです。

シガー・エリスといっても、アメリカでさえ忘れられた名前といってよいでしょう。20年代、30年代には歌手として唄いましたし、ピアニストでもありましたし、バンドリーダーとしても活躍していたのです。

どのレコードか思い出さないのですが、「イギリスの作曲家らしい」などと書かれていたものがありました。とんでもない間違いで、テキサス・ヒューストンの生まれです。91歳の長生きをしましたが、後半の人生を知る人がいないのです。

フォー・フレッシュメンのロス・バーバーは、「この歌をこよなく愛していた」と自著の中で書いています。ロスが好きなFFナンバーは、爵士樂堂も同じ感覚で無条件に大好きなのです。

1954年にフォー・フレッシュメンは唄いだしています。その前にはケントン楽団が取り上げています。40年代にEllisが書いた曲でしょう。Stan Kenton 1947 Vol.1に入っていました。

この歌をサリナ・ジョーンズが不思議なことに95年前後にレコーディングしていました。当時、びっくりしました。他には歌っている人を知りません。じつに有名でない名曲です。そこで思い出して、90年代後半にソロで唄っていた時期がありますが、マヌエラの仲間達が歌い出しのメロディを覚えてしまって「アーフター ユ〜〜」と歌いだすほどでした。ちなみにメロディは「ソー、ラー、シーーーーー」です。

2001年の暮に”Jazz In A Sentimental Mood - Seger Ellis”という、1928-1932のモノラル録音アルバムが発売されました。じつにいい気持です。これには”After You”は入っていません。(2004)

後日談です。今日は2019年4月17日。昨晩、ジャンボ小野に会いました。

別れる直前の会話で、ジャンボ曰く

「After Youっていいですよねー」 


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