歌と歌手にまつわる話

(67) Ray Brownうたた寝のまま Gravy Waltz


Ray Brown (1926-2002 )

レイ・ブラウンはピッツバーグが生んだ偉大なベーシストです。1945年にNYに出てきてDizzy Gillespieに気に入られ、Charlie Parker、Bud Powelとともに世界中を回り、ガレスピーから作曲も学んだといいます。

48年にはHank JonesとCharlie Smithとでトリオを結成、その後、出来て間もないビッグバンド、Jazz at the Philharmonicで18年間もメンバーとして活躍しました。そこで、出会ったのがOscar Petersonです。彼は1951年から、このトリオが解散する1966年までOscar Peterson Trioのメンバーでした。

1948年から、たった4年間ですが、エラ・フィッツジェラルドと結婚していました。
 

ブラウンが1952年にSteve Allen ShowのテーマソングとしてGravy Waltzを作曲し、Steve Allen自身が詞を書きました。アレンは例によって語りながら唄っています。文字通り3拍子のおもしろい歌です。Oscar Peterson Trioでもよく演奏されています。これは格好いいです。グラミー賞も獲得してしまいました。

その間、フランク・シナトラのTVショーでは彼が必ずベースを弾いていました

大好きなJoe Williamsも唄っていますので、ひとつレパートリーに加えようと考えているところです。

昨2001年のFujitsu Concord Jazz FestivalにはRay Brown Trioが来日し、貫禄たっぷりのベースを聴かせてくれました。これが最後になるとは思ってもいませんでした。

ベースを抱いて立っているだけで、その存在感に圧倒される思いでした。まだ、やさしそうな姿が焼きついています。

2002年7月2日にインデアナポリスでショーがあったのですが、そのショーが始まる前に、うたた寝をしながらあの世に逝ってしまいました。私はこのことを知らず、7月4日にロンドンに発ち、6日にサリナ・ジョーンズとSimpson'sでローストビーフを食べながら「ローズマリー・クルーニーとレイ・ブラウンが死んだの知っているか?」と聞かれて愕然としてしまいました。合掌

レイ・ブラウンの最後のレコーディングとなったCDがあります。2002年の2月にサンフランシスコの長部正太(pf)とハロルド・ジョーンズ(dr)のトリオのCDです。⇒長部正太

(2002/7)


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