歌と歌手にまつわる話 |
(53) ボレロに英語の歌詞 Yesterday I Heard The Rain | |
Roberto Sugiura (1970- ) |
90年代の前半 、メルパルク・ホールで行われた大きなコンサートで一緒に出演して知り合った若いタンゴ歌手ロベルト杉浦が、最近、ボレロに凝っているのですが、昨年、彼がライブでこの歌を唄いました。彼は日本ではすでにタンゴ歌手実力ナンバーワンだといってよいでしょう。彼のスペイン語は確かです。
⇒ 昔のチラシ
"Yesterday I Heard the Rain"は、もともとメキシコの有名な作曲家、Canache Armando Manzaneroのスペイン語のボレロ"Esta tarde vi llover"です。ちょっと変わった歌だと思っていたのですが、そのわけがよくわかりました。 |
彼は大変な勉強家で、アルゼンチンにも渡りタンゴを磨きのかかったものにしていますし、最近はボレロを勉強にコロンビア、プエルト・リコ、キューバ、メキシコと武者修業に出掛け向こうのテレビでも人気者になりました。99年4月からは再度中南米に渡り、数年は帰らないと申しています。(1999/3) ◆ ◆ ◆ 2002.8.1に天王洲アイルでコンサートが開かれました。 |
私はトニー・ベネットが唄った英語の歌詞のついたこの歌を昔よく唄っていたのです。奇遇でした。 マンザネーロは日本びいきのソングライターで、ヤマハには恩義を感じているらしく、2002年4月に家族を連れて桜見物に来日したときは、目黒大鳥神社裏のヤマハ振興会に表敬訪問に来ました。ここで、ミニコンサートが開かれたのです。ヤマハのエレクトーン奏者を永年育ててきた山口豊二氏から誘われて聴きに行ってきました。 その何日か後に、六本木のSweet Basil 139でライブがありました。これは、その前からチケットを買っておいたので2度もマンザネーロを聴いてしまいました。ロベルトが知ったら羨ましがることでしょう。 |
Armando Manzanero (1935-2020) |
2002年の7月、ロンドンにサリナ・ジョーンズを訪ねた折のことです。ローストビーフを食べさせる老舗のレストランSimpson'sに連れて行ってくれました。そこで、新しいCDをくれたのですが、それにこの歌が入っているのです。「どんな風に唄っているの?」と聴くと、サリナは唄いだしました。私が歌うのと同じバラードのテンポで歌い始めました。サリナは何処でも平気でアカペラで唄いだす癖があるのです。一緒にデュエットしてきました。
トニー・ベネットが唄うと言いましたが、その前日、ロンドンではトニー・ベネットの大コンサートがRoyal Albert Hallであったのです。前の晩に見つけて、チケットをブックすることができ、思いがけない付録が出来ました。当日の客は5,000人でした。すごいホールでしした。
ところで、"Esta tarde vi llover(エスタ タルデ ヴィ ジョヴェル)"はスペイン語で「今日の午後、雨を見た」という意味だ。それが、Gene Leesの英語の詞では”Yesterday I Heard the rain”となっている。”Esta Tarde”を耳で聞くと「イェスタデー」と聞こえるじゃないか。てんで、訳詞版では「昨日、雨音を聞いたた」としたんだよ。 もう一つ、マンザネーロの名曲、”It's Impossible”がありますが、原題は”Somos novios”で「私たちはカップルです」という意味なんですよ。面白いですか? (2002/9) |
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