ジャズと小噺

(6) 食べ物は人格を形成するのか? Blue Christmas 

Elvis Presley(1935-1977)
リズム アンド ブルースと呼ばれるジャンルからRockn' Rollという音楽が1950年代に生まれました。プレスリーの登場は世界中衝撃的でした。しかし、今では当時のロックンロールはジャズという大海に呑みこまれてしまったようです。何故かって?それはロックンロールの故郷はブルーズやジャズに源をおいているからです。でも、プレスリーはジャンルを超越した大歌手でした。身体全体で唄いますからその迫力は当時のことを知る者の心に今も生き続けています。 

「今どき、若者がやっているロックっていうのは、何か昔の悪いところだけを強調しているとしか思えませんね」

「あったりまえでしょ、ハンバーガーとフライドチキンのようなファーストフードがメシだと思っている世代なんだから、本当においしいものは口に合わないんだよ」

「なるほどねぇ、音楽も同じことか」

世のお母さん方よ、子供のうちにいい食べ物といい音楽を与えなさい。日本の音楽業界、放送関係の方々よ、お子様ランチのような若者に迎合して民度の低い音楽ばかり作ったり聴かせたりして金儲けなんかしなさんな。

若いときにジャズやポップスが好きだった嶋田さんというお母さんが自分の娘をジャズのボーカル・スクールに通わせました。2、3年たって娘は「ジャズが少し分かりかけてきた」といっています。こんな母娘って、母も娘も素晴らしいとは思いませんか。こういう親がいなくなってきたのです。

昔の日本の工業製品は「安かろう、悪かろう」といわれたもんです。すべてがとは言いませんが、現在の日本のポピュラー・ミュージックは、戦前から戦後の工業製品と同じといってよいでしょう。この50年の間に日本人の身体は成長しましたが、精神はかなり退歩してしまいました。脳味噌も同じです。政治家をはじめ、みんなそうではありませんか。

ついでにもう一言、わたしは日本のレコード会社が大嫌いです。どのレコード会社も少し売り上げ枚数が落ちてくると、いい悪いに関係なく「廃盤」にしてしまいます。少なくとも出ては消えて行く薄物音楽とトラディショナルな、ジャズのようなジャンルは区別し、考え方を変えて欲しいものです。おまけに世界のどの国より値段が高いのです。ですから私はなるべくアメリカからCDを少しずつまとめて購入しています。ただし、すべてと言っていいくらい歌詞カードなんてついていません。念のため。国産のは親切に歌詞カードがついているのが多いようですが、間違いも多いのでご注意下さい。(1998/10)


日本コロムビアから私のところに連絡がありました。1970年代初めのLPを復刻したCDを、2016年5月20日に発売すると、サンプルCDが送られてきました。沢田本人も忘れているような古いレコードです。私から沢田の弟子たちにこの情報を知らせました。沢田の家に行って一緒に聞きました。憶えていましたよ。

更にさらに、日本コロムビアがら10月下旬に一枚のLPが送られてきました。5月にCDに復刻した「街は風の港」というLP復刻盤です。驚きました。コロムビアという会社は、45年も前のレコードを復刻したのです。

どうやら、わたしの声がコロムビアに聞こえたらしいです。いや、そうじゃなくて若者たちのアナログへの回帰が動機となっているようです。(2016/12/9)

⇒ このレコード復刻の話


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