歌と歌手にまつわる話

(13) 卒業式 Graduation Day
(English version click here)


The Four Freshmen (No.20)

古今東西、卒業式とは嬉しさと寂しさの入り混じった複雑な気持ちをさそいます。アメリカの大学生は、学生生活をエンジョイしたよろこびと別れの寂しさをこの歌に託して歌います。4フレッシュメンはよく大学でコンサートをやりましたが、そんなときにもこの歌を唄います。そのくせオリジナルのFFは大学を卒業しないままプロになりました。

最近の日本の大学では、卒業式に出てこない学生がいっぱいいます。卒業証書(今は学位記という)は事務で保管しているのですが、取りこない学生もいるのです。

おまけにもうひとつ、最近、うちの大学では父母懇談会(父兄会、PTAまがい)をやるのです。へんな時代になりました。パパやママが来るのですよ。

「うちの子はいい子にしてますか・・・」 

もっとも、最近は成人式=30歳と思っていますから摩訶不思議なことではないのかも知れません。

いつも、最後にビールとおつまみが出てきて懇親会が始まります。これに出席する教授はお母さん方に囲まれ、ホストクラブのホストになった気分を味わうことになるのです。

あー、やだな〜ぁ! (1998/10)


祝 卒 業

2008/5/10


Ross Barbour, Bobby Fong(President of Butler U) and Bob Flanigan
 

FFのオリジナルメンバーは、1948年春にインディアナポリスのバトラー大学のFreshmanとなり、その秋に「新入生」のままプロ活動に入り、2年生にもなることなく、卒業することはありませんでした。しかし、ご覧のようにボブ・フラニガンとロス・バーバーの二人は、バトラー大学を「ついに」卒業しました。

2008年5月10日に、学長から”Doctor of Arts”の名誉学位を授与されました。

心温まる話じゃありませんか。アメリカの良さですね。大学にも「人間らしい」血が通っているようです。

本物のインテリジェンスとはこういうものなのですよ。私自身も大学人ですが、私の周りにこんなことを考える学長もいませんし、このような美談を知っている教授すらいません。100年遅れていると言っていいでしょう。

この年はFF結成60周年になります。60年後に「卒業」とは粋な計らいですなぁ。私は感動しました。

この話の日本版を考えました。「慶應義塾塾長、ダークダックスに『名誉博士』の称号を贈る」となります。ダークは2011年で60周年になるのですが・・・今どきの塾長にそんな期待をするほうがアホです。

調子に乗ってもうひとつ言おうか?指揮者の故若杉弘は1970年代ー1990年代にドイツ語圏のドイツ・ケルン放送交響楽団主席指揮者、ライン・ドイツ・オペラ、チューリッヒ・トーン・ハレ、ドレスデン歌劇場などの音楽総監督を務めた。日本に戻ってご承知の通り新国立劇場オペラ芸術監督と日本のオペラ界の大改革者だった。日本での活躍は当たり前だが、本場のドイツで日本人指揮者がヨーロッパ音楽の指導者・監督となるなど稀有なことである。ドイツ人は偉い民族だと思う。

日本人はアホだから、ヨーロッパ人が歌舞伎座総監督になるのと同じ位の偉業だと誰も思わない。若杉さんは私たち「慶應義塾楽友会」の先輩だ。若杉さんには名誉博士号など軽すぎるワイ。

塾長も視野が狭いが、その取り巻きはもっとアホじゃ。私も歳をとって怒りっぽくなってきた。うちの犬、ちゅんちゅんも怒りっぽい。



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