歌をつくる人にまつわる話
The Story of Songwriters

(32) Victor Herbert Kiss Me Again

Victor Herbert(1859-1924)

アイルランド生まれで、オペラやオペレッタを沢山書いた作曲家ですが、ジャズ関係では知っている人は少ないと思います。1886年に彼の花嫁のTherese Försterというソプラノ歌手がニューヨークのメトロポリタンオペラと契約をすることになり、夫婦でアメリカに渡って来ました。

Tin Pan Alley作家のはしりと言えばいいと思いますが、私が知っている曲は、かろうじて”Indian Summer”だけです。

かつて、浜口庫之助さんが「夜霧よ今夜もありがとう」という歌を書き、石原裕次郎が歌って大ヒットさせました。

ハマクラさんは生前中、リトルマヌエラの常連客だったのです。中田光雄のピアノでハマクラさんが歌った歌のテープがあります。

”I'll Never Smile Again”と”Kiss Me Again”です。

I'll Never Smile Againはシナトラの最初のヒット曲ですから有名ですが、Kiss Me Againはどうでしょう。ご存知でしたか?Victor Herbertの作曲です。

”Kiss Me Again”の作詞はHenry Blossomです。1905年のブロードウェイ・オペレッタ”Mlle. Modiste”の主題歌ですから古い歌です。1915年と書かれた資料がありますが、それはSheet MusicがM. Witmark & Sonsから出版された年です。

ハマクラさんの他にはブルーコーツの生みの親、長尾正士さんがオルフェアンズのテーマソングとして使っていました。専属歌手の芝小路豊和さんは朗々と歌われていました。若きシナトラも朗々と唄います。

ハマクラさんはしっとりと歌うのです。それがいいのです。

おそらくは”Kiss Me Again”、「夜霧よ」のイメージとなった元歌だと思います。そこで、マヌエラではハマクラさんが唄う”Kiss Me Again”を「夜霧よ・・・」と呼んでいたのです。

在りし日のリトルマヌエラでのハマクラさんとまゆみさんご夫妻。

もったいないけれど、お聞かせします。


Kuranosuke Hamaguchi(1917-1990)

 


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