歌と歌手にまつわる話

(126) サッチモの Stardust に歌詞をつけた男 

”Hello Dolly”の話をすれば、サッチモ、ルイ・アームストロングを思い出しますが、サッチモの”Stardust”は誰にも真似ができない名品です。

”Stardust”はナットキングコールの専売特許と思っている人が多いのですが、サッチモのヴァース抜きの3コーラスは粋なシカゴスタイルです。

トランペットのアドリブから入り、2ndコーラスでは歌います。3rdコーラスはまたトランペットになります。

そのトランペットのソロ・フレーズに歌詞をつけた男がいます。言わずと知れたJon Hendricksです。HedricksはLambert, Hendricks & RossというVocaleseのコーラスのほとんどの曲に字余りの作詞をした人です。日本人の英語力では舌が回りません。

その”Stardust”、Vocalese版を自分の奥さんのJudithと歌います。Freddie Freeloader,Jon Hendricks & His Friendsという1990年のCD中の1曲です。


Jon Hendricks(1921- )

 

これがルイ・アームストロングの”Stardust”です。このレコーディングは古く、1931年のものと思われます。このサッチモのトランペット・ソロとボーカルは他の追従を許しません。この歯切れのよさを聴いたら、他のStardustはネチョネチョしていて聴けなくなります。

 

これは1990年のレコーディングです。サッチモは71年に死んでいません。サッチモの昔のレコードそのままにジョン・ヘンドリックスが物真似でレコーディングしたものでしょう。「真似できない」と言いましたが、上の本物と見分けが付かないくらいです。ヘンドリックスってほんとに変ドリックスです。

ミセス・ヘンドリックスは可愛らしいソプラノでこんなものすごいVocaleseを歌ってしまうのですから開いた口が塞がりません。ジョン・ヘンドリックスは今年89歳になりました。(2010/9/11)


訃 報

Judith Hendricks


Judith and Jon Hendricks, 2014

人には真似のできない”Stardust”は私の脳裏に刻まれている。

今は2016年8月、ムシの知らせかJudithの写真を探そうとネット検索をした。2件の関連するページを見つけたが、何と死亡当日の訃報1件と半年後に書かれた追悼記事1件だった。ちっとも知らなかった。何処かから、誰かから「Judithの写真を探して載せろ」という声が聞こえたものとしか思えない。

LH&RがニューヨークのBirdlandで1959年にライブをやったとき、Judithはタバコ売りをやっていたのだそうだ。Jonは彼女に一目惚れしてしまったという。そして56年連れ添った。

2015年11月18日に脳腫瘍のためマンハッタン南端、Battery Park Cityの病院で死去した。78歳だった。R.I.P. (2016/8/4)

このページの話をジョンを師と仰ぐ丸山繁雄にした。

昨年の渡米時、ジョンのお宅でジュディスの入れてくれたお茶とケーキでCD発売の企画を相談したのが最後。

ニューヨークでは二晩一緒に食事をし、一晩はジョンと私とでクラブで歌いました。

近々ジョンを訪ねるつもりでおります。

と書いてきた。翌日にニューヨークから知らせが来たときは号泣したと言っている。Jonは95歳になり介護老人となっている。娘のAriaが同居して世話をしているそうだ。

(2016/8/5)


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