バッチャン村は、ハノイ市街から南東に約13qのホン川(紅河)沿いに位置し、標高が低いために雨季(6月〜9月)には町ごと水没することがあります。レンガ作りが盛んであったために今もレンガ工場が多いのですが、15世紀ごろから陶磁器作りが始まり、現在では約100軒の工場が軒を連ねています。村の人口は約5000人で、90%近くが陶器作りに従事しています。白地に青の陶磁器がオリジナルなのですが、近年は海外の観光客の増加もあって、色とりどりの形も大きさも様々な陶磁器が作られるようになっています。バス停付近から観光客目当ての土産店が数多く軒を連ね、焼き物市場を形成していて、陶磁器がところ狭しと山積みにされています。観光客向けの店が増え、景観は次第に変化し始めています。ハノイ市内の土産物屋も皆このバッチャン村から仕入れています。
バッチャン村
バッチャン焼きの歴史は遡ること15世紀頃となりますが、もともとそれ以前から焼き物文化はあり、陶磁器と呼ばれるものは10世紀頃にはすでに作られていたと言われています。
バッチャン村で製造されるバッチャン焼と日本のかかわりは古く、16世紀にさかのぼります。当時よりこの村の陶磁器は日本に輸出され、多くの茶人たちに愛用されてきました。当時、日本人の注文でトンボをモチーフにデザインされた絵柄は、その後ベトナムでも好まれるようになって一般化し、現在でもこのデザインの陶磁器や玩具が数多く生産されています。
また、当時はベトナムで交易が栄えていたということもあり、多くのバッチャン焼きがアジア、西洋にも輸出されました。
バッチャンの陶磁器
ホン河の堤防に描かれた、モザイクアート
2010年には、チャンアンからハノイへの遷都1000年を記念して、ハノイで多くのイベントが行われました。その一つとして、ハノイを流れるホン河の堤防を色とりどりのモザイクアートで装飾するアートプロジェクトが行われました。
地元のジャーナリストの提案で発起したこのプロジェクトは、2007年にスタートし、遷都1000年を祝う2010年に完成しました。
これには多くのアーティストが国内外から参加していて、ベトナムの歴史や文化をモチーフにしたものや、地元の子供たちが描いた絵を元にしているものなど様々な作品があり、見ていて飽きません。このモザイクには、バッチャン村で作られたセラミックが材料として用いられています。
ロンビエン駅のすぐ横から始まりホン河側の壁に約7Km続く壁画に、ベトナムの歴史が表現されています。写真では分かりにくいかも知れませんが、1個1個のタイルに丁寧に色が塗られていて、よくこんな長い壁画を作ったものだと感心します。ギネスブックにも登録されていますので、話のネタに、皆さまハノイまで見に来られたらいかがでしょうか。
ホン河のモザイクアート
(2017/8/11)
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