ジャズと小噺

(43) リー・モーガン殺人事件

こんな映画が2017年12月に封切られた。

アート・ブレイキーのJazz Messengersにも在籍し天才トランぺッターと呼ばれたLee Morgan(1938-1972)はドラッグ漬けだった。ヘロイン中毒で薬を買うためにトランペットまで質に入れたそうだ。その商売道具のトランペットを質屋から取り戻したのが、一回り年上で後に夫婦となるヘレン・モアHelen More(1926-1996)だった。

当時の才能ある黒人ミュージシャン達は、白人に2重3重の搾取をされ、白人しか入れないジャズクラブで演奏しなければ生きていけないのを、ヘレンは黙って見ていられなかったのだという。真面目に音楽を追及しているにも拘らず、薬に溺れて行かなければならなかったのがアメリカの人種差別社会だ。

モーガンは次にコカインに溺れて行く。そんなモーガンにジャズ演奏の仕事を続けさせたのはヘレンであった。


映画のポスター 2017


モーガンはいい姉さん女房がいるのに、若い女を引きずり込んでしょうもない男だった。ついにヘレンはモーガンを拳銃で撃つことになってしまった。いろいろな偶然が重なった結果だった。1972年2月19日のことだった。モーガンは33歳だった。

ヘレンは第2級殺人罪に問われたが、何年か服役して釈放されたと書かれている。その後、親族のいる郷里に戻り1996年まで生きた。死ぬまでモーガン姓を名乗っていた。

この話は1996年に亡くなる1ヵ月か前にインタビューに答えたもので、それまで知られていなかったヘレンの思いと事実とが伝えられた。その詳細は、「The Lady Who Shot Lee Morgan」 Jan 2014 by Larry Reni. Thomas に書かれている。(2017/12/22)

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Marian McPartlandにもらったLee Morgan


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