しょうちゃんの繰り言


友からの手紙

例の友人から今朝、手紙(メール)が来た。そのまま私のエッセーに載せるのには躊躇があったが、友人は問題提起になるから構わないと返事をくれ、むしろ世間に知らせて欲しいとの要請だった。簡単に状況を述べれば、彼の男気から前会社の負債を個人で引き受けたことにより全てが始まっている。

不況で経営困難になった前会社から独立した彼は自分の会社を設立したが、その際前会社の資金繰りで集めた債務を全て肩代わりした。その間の詳しい経緯は当時彼から聞いている。前会社に支払い能力が無かったためと、彼の信用で集めた資金であったことから彼が責任を取って返済を引き受けた。彼の新会社ではまずその債務の弁済を最優先し、当時総額約2,000万円ばかり掛けて処理したそうだ。ただ、この金額は新会社の借入金としては扱われず、あくまで彼の個人的負債としてしか会計上、処理出来なかったという。

今となって考えれば、ボタンの掛け違いが始まった瞬間だ。海運界は好不況の波があり、出だしではかなり苦労したらしいが税金の前に取り敢えず残債を処理したという。
新しい会社で得た給料や故郷に持っていた自分名義の土地等(格安で抵当に入れ、結果としてその土地も無くしている)を利用して債務を完済するまで、自分の収入に対する税金が払えず、それが結果として彼を長い間苦しめることとなった。彼の支払い優先順位は、まず融資してくれた方々への返済だった。

その後大きな仕事が出来、全ての借財を挽回するチャンスが来たが、取引相手の会社は会社の不況を盾に規定の2割にも満たない数字しか払わなかった。他で面倒をみるとか、会社が儲かったらお返しするとか約束はあったが結果としてすべてが反故にされた。また、別の会社では私と同様天下りの役員から、掘った大事な井戸を取り上げられ、結果としてその井戸も枯らし、挙句の果てに取引まで停止となった。

こういった前提で始まった彼の、見方によっては不条理とも言える経緯を公にし、彼の主旨に沿った問題提起としたい。手前勝手な自己弁護か、社会のあり方として改めるべき点があるのかは、読んだ人の判断に任せるしかない。

決して楽しいエッセーではないが、多くの問題を孕んでいるのは事実だ。実際、過去に多くの零細・中小企業が同じような問題を抱え、責任感の強い経営者が自分の生命保険を最後の拠り所として債務の決済や家族への責任を果たしている例があることから、彼の手紙を敢えて公表したい。


若山教授の判断で彼のホーム・ページに載せて貰ったが、友人の手紙を取り上げた私自身が未だに迷っているのは事実だ。教授のホーム・ページでエッセーを載せるのは少々の政治的意見が含まれていても許容範囲だろうが、友人の個人的事情がはたしてホーム・ページのエッセーとして相応しいか疑問に思う方も出てくるだろう。ただ、私の判断では友人の独りよがりの悪態には思えない。

社会が持つ強制力に疑問を呈した友人に、私は素直に賛同の意を表し、敢えてエッセーとして取り上げた。

税務担当者の機械的な処理、ローン会社及び債権回収会社の一方的な処理、等々の実例を見ると、友人が主張するようにもっとましな解決方法はある筈だ。

我が友が、彼の業界において多大な貢献をしたのを私は知っている。大げさにいえば、成長期の日本経済の発展に大いに寄与している。何故、有能で男気のある彼がこれ程不条理とも思える仕打ちに遭うのか、これも彼に言わせると運命なのだろう。彼のお世話になった人達を数多く知っているが、多くはその時限りの関係で利用価値が無ければ去っている。それでも恨みごとひとつ言わない彼に私は多くを学んだ。

友よ、最後まで負けるなとエールを送りたい。

平成27年9月13日

草野章二

資料1

 

平成27年1月15日

XX税務署御中                       
徴収X部門
XXXX様

前略

私は、平成27年1月13日付けの「公売通知書」を14日に受け取りました、XX区XX丁目XX番のXXXXでございます。2年程前、取引のあった会社から仕事打ち切りの通告があり、残っている住宅ローンや滞納税金清算のため自宅を処分する覚悟は致しておりました。

ただ、問題は自宅の任意売却では残債の整理が出来ないことから、相談に乗って下さる方と今後の問題を含めまだ検討している最中に公売通知書が届いた次第です。息子達もこの家の購買を検討してくれましたが、とても残債を完納する金額には達しません。つまり、延滞金利を含めて全額払えとの建前論では、残念ながらこちらには解決の仕様がありません。もし、この延滞金利に関し何らかの譲歩を税務署から頂ければこちらにも方法はあったのですが。

私にはこの家屋以外、資産は預金を含め全くありません。株券・債権の類も一切ありません。残っていた画等は昨年友人に生活費補充のため買って貰いました。それも大した金額ではありません。

この前提で、ここが公売された時、残債住宅ローンの決済は如何なるのでしょうか。また、国税以外の税金の清算は如何なるのでしょうか。

現在の状況で家屋資産が公売で処分され私に何も残らない場合、引っ越し及び次の住宅借入の資金もお恥ずかしい事ながら一切ありません。この一年程は子供達の援助や友人の好意で何とか食べ繋いで来ましたが、これも今現在限界に来ております。現在の収入は月平均夫婦で約XX万円の厚生年金だけです。

何故これまでの滞納になったかは、私なりに税務署に書いたもので提出してありますので、目を通して頂ければ幸いです。

今日頂いた「公売通知書」では具体的にどういう展開になるのか不明ですので、教えて頂ければ幸いです。

私はこれまで脱税して逃げ回っていた訳ではありません。納税は国民の義務なのは良く承知しています。仕事で挽回のチャンスがあると信じていましたので、それぞれの税務担当者にその都度事情を説明して待って頂いたのです。これまで挽回出来る仕事がありましたが、残念ながら前の手紙に書きました様に不条理な扱いを受け、その時は思うように清算出来ませんでした。仕事打ち切りの通告を受けた時点で挽回の可能性が少なくなり、自宅を処分して納税することも具体的視野に入れて検討しておりました。ただ、高い延滞金利が不必要に納税者を苦しめている事実を御承知おき下さい。市中金利が10%〜12%の時代ならさして違和感も覚えませんが、あまりにも銀行金利(プライムレート)とかけ離れているのは単に零細・小企業に苦しみを与えるだけです。我々は金利が安い銀行ローンは実質利用出来ません。少なくとも脱税で逃げ回った場合を除き、延滞金利に関しては納税者の相談に乗って頂く仕組みに変えて貰えませんでしょうか。徒に建前論での無言の圧力は納税者の将来も破壊してしまいます。

国は強制力を持ちますが、その行使は出来ることなら慎重にやってもらいたいと思っています。零細・小企業は金融機関を含め取引先から理不尽とも思える扱いを受け、住宅ローンや運転資金の利用も出来ません。時には前に述べましたように取り引き先からの不条理な仲介手数料のカットもありました。

ただ、ある会社の協力で一時挽回しましたが、その折には区民税・都民税を処理し、国税一本に税金の残債を纏めました。この業界の景気がもう少し続けば国税も順次処理するつもりでいたのですが、業界はリーマン・ショック後不況に会い、計画通りにはまいりませんでした。納税のため私の収入を高めに設定していましたが、その為税金・社会保険等が割高になり、今となれば負債をさらに増やす遠因となりました。しかし、義務を果たそうとして私なりに努力していたことは御理解下さい。

病を抱えてこの年で無一文で追い出される者の選択は限られています。もし国税が例外無く延滞金利を含め100%の回収率を誇るのならある意味仕方がありませんが、無防備で取り易いとこから取るという姿勢では納税者の納得は得られないでしょう。私の友人は自分の会社が倒産しましたが、会社の税金は未納に終わり、個人的にその後も経済的には困っていませんでした。別の飲食関係の友人は税務署と平和裏に手を打ったそうです。

残念ながら、私が最近経験した税務署の対応はこちらの相談に乗るという姿勢ではなく、無機質に原理原則だけを述べられるので、我々納税者(滞納者)は常に不安な気持ちで税務署の沙汰を待つという結果になっています。元本を超えた延滞金利分は、互いに納得のいく方法で処理出来れば私のケースのように公売された人達もその後の生活設計が立てられますが、現状では何の手も私共には打てません。少なくとも逃亡して捕まった犯罪人ではありませんので、それなりの対応があってもしかるべきだと思いますが如何でしょう。私は自宅を売却して納税の義務を果たすつもりでいる普通の国民です。

それでも、XX歳の病気持ち高齢者が自宅を処分して納税するのはかなりのストレスになっております。自業自得なのか、他の背景があったのか私の提出した手紙を今一度読んで頂けませんでしょうか。

税務署の滞納があると言う事は、他にも借金がある事を意味しています。延滞金利分に関しては、手前勝手な主張か、普通の人間の常識的な訴えか判断はお任せ致します。

細かい質問事項もありますので、近い内に電話で相談させて下さい。本来ならお訪ねしてお聞きしたいのですが、病気の後遺症のためこの二年来歩行がままなりません。かつ舌も悪くなっていますが、多分言葉は充分通じると思います。なお、字の方は後遺症で上手く書けなくなりましたので悪筆をお許し下さい。

宜しくお願いします。

草々

cc XX税務署長 XXXX様 

XX区XXXXXX
XXXX


電話XXXX-XXX
X

 

資料2

 

税務署の対応に対する私見

個人的なクレームと取られるのは心外なので、以下の点を税務のあり方の今後の参考として考慮されるよう提起しておく。これは私の死後関係機関に送って欲しい。

念の為、徴収担当者のみならず、XX税務署所長及び上位監督機関にもこの写しを送って欲しい。最終的にはXXXXの麻生太郎氏、及びXXXXの安倍晋三氏にも送って欲しい。

*課税にあたり、収入の捕捉率、またその後の税金の回収率には出来るだけ平等を期して欲しい。取れるとこや、取り易いとこからは徹底的に徴収するのは公平の原則に反する。特に強制力を持つ公共機関はこの点を充分考えて欲しい。

*零細・小企業が金融機関から受ける扱いへの認識を熟知して欲しい。担保が無ければ運転資金等は絶対貸して貰えない。市中金利が安ければ誰でもその金で高い金利の支払いを清算する程度の知恵くらいは備えているが、零細企業は実質利用出来ない現実があることを分かって欲しい。従って、懲罰的な課徴金に対して我々は対応の方法がない。14.6%の懲罰的課徴金は単に零細・中小の企業経営者を選択肢の無い方向へ追い詰めているだけだ。また、それぞれの滞納の背景も充分理解して欲しい。

*会社経営者は企業倒産で滞納税金を納める義務が無くなる。一方個人は背景に係わらず徹底的に追及される。零細企業の場合、会社も個人も厳密な区別は無く、存続の為混同されるのはやむを得ない場合が多い。個人も企業も実質同一であることも知って欲しい。

*一方、我が友人XX氏(かつてXXで飲食店経営)のように、税金そのものを国税の担当官によってもみ消して貰った事実もある。

*如何なる事情があっても、公売後の納税者の生活に配慮して欲しい。特に資産の無い病気を持った高齢者にはそれなりの配慮をして欲しい。

*高すぎる課徴金利でどれだけの人間が苦しんでいるか、現実を直視して欲しい。懲罰的な扱いは納税者に対しての配慮が全く窺えない。元本が徴収出来たら、対象者の滞納の背景、年齢・健康状態等によって次の生活が可能な方策を考えて欲しい。

*故意若しくは悪質な脱税でない限り、単なる滞納には懲罰的な課徴金を一律に課すべきではない。滞納者は犯罪人ではない。憲法25条に示された国民の生存権さえ国の機関によって犯されている現実を直視して欲しい。私の経験からは、立ち直り不可能な手法で滞納者を単に追い詰めているだけにしか思えない。3年前も、昨年も我が家は不動産屋の査定では同じ様に5,700万円だったが、この数字は国税の公売価格とは乖離があり、その差額さえ当事者の将来の為に活かすことは出来なくなっている。犯罪者に対する見せしめとしか思えない国税の対応には大いに問題がある。   

税務署には報復を恐れて一般的に敢えて異論を唱えないが、この私見は私個人の為ではなく多くの苦しんでいる零細事業者の参考として、今後の扱いには是非考慮して欲しい。

我が家は査定で5,700万円の価格が示されたが、この金額は奇しくも残債住宅ローンと滞納税額にほぼ匹敵する数字だった。ただ、処分を急ぐとこの金額では売れないだろうという業者の話だった。時間を掛ければこれ以上の金額も可能だが、税務署は時期に関しては一切の見通しを語らず、公売は突然来る可能性を税理士は教えてくれた。

平成27年1月27日

XXXX

追加補稿

2月6日XX税務署の徴収担当官に念の為、上記の項目に関する質問を行ったが、彼の役目は規則に従って徴収するだけで、納税者のその後の生活等に関する事情には一切関知しないとの返事だった。私の場合引っ越し費用も、次の賃貸の為の資金も無いが、こういった個人事情にも税務署は一切関知しないとの由。犯罪者でもない納税者を追い詰める、国の機関に大いなる疑問を呈しておく。一方で、国税税務官が飲み食いした店の税金をもみ消してくれた例もある。私の友人から直接聞いた話だ。このバランスの悪さを暴露するのが趣旨ではないが、釈然としないものは残る。 (平成27年2月6日)

追加 2

結果として我が自宅は3月、3700万円で公売された。前述した如く、かつて大手不動産会社に5700万円で査定された物件である。公売で我が家を取得した新オーナーは次の賃貸契約(約20万円強)と引っ越し費用等(50万円)の支払いに同意した。仕事の取引を突然停止され収入の無くなったXX歳の高齢者に、個人的借金の他にカードローン等約400万円の未払いが残っており、当然払える目安は立ってない。公売で落札した新オーナーはこの家を月30万円位で賃貸に出す予定と仲介する不動産屋から聞いた。死肉に群がるハイエナに例えると失礼かもしれないが、国税という国の機関がこれを合法として実勢価格より遥かに安く売り、公売にあった納税者には何ら救済の手段は残されていない。犯罪者に対する見せしめより酷い対応に思える。国税庁が零細業者の犠牲増加に加担していることを肝に銘じて欲しい。硬直した強権の執行が零細業者を追い詰めている現実も直視して欲しい。残された妻への責任の取り方が、生命保険しか選択肢の無い追い詰め方は死刑執行と同じであることを、もう彼らもそろそろ知るべきだろう。 (平成27年5月23日)

 

資料3

 

税務署及び住宅ローン会社・債権回収会社への最後のメッセージ

関係各位

今日、平成27年9月11日、住宅ローンの残債請求が、債権回収会社から連帯保証人である私XXXXの次男XXXXの元へ合計5,607,608円の金額で届けられた旨、次男から電話連絡を受けた。9月17日までに完済しなければ法的処置をとるとの内容だという。

公売された後、今日までローン債権回収会社からは何の連絡も無く、従って平成27年3月に3,700万円で公売された金額から、当然清算されたものと思っていたが、6ヶ月も経って突然の請求に大変驚いている。もしローンの残債があるのなら、公売直後に債務者である私にその旨、ただちに連絡するのが筋ではないだろうか。

その結果、私の支払い拒否があったのなら連帯保証人に連絡するのも或いは止むを得ないが、その確認以前に連帯保証人に請求する金融機関の姿勢には大いに疑問を持つ。連帯保証人という制度を最大限に悪用する手法は、例え回収に効果があったとしても全く卑劣な手段としか形容の仕様がない。

3年前、取引相手の会社から取引停止通告があった為、あらゆる努力をした結果、税金及び住宅ローンの支払いが出来なくなり、私としては最後に自宅を処分して清算する道を選ばざるを得なくなった。

公売前に不動産屋に査定された我が家は5,700万円であったが、この金額は住宅ローンの残債、及び延滞金利を含めた税金の総額に丁度匹敵するものだった。だが、結果として税務署は上記3,700万円の金額で我が家を公売に付した。

税金滞納の背景や、公売へ至るまでの経緯にも私なりの事情や主張もあったが、この際規則は規則として受け入れざるを得ないと思っている。

既定の月額ローン返済が難しくなったため、私は新たなローンの組み換えを提案したが、ローン会社は65才を過ぎれば住宅ローンの返済方法の変更は一切認められないと返事してきた。こういった対応しか出来ず、ただ無機質に回収を機械的に行う彼等が如何に非人間的なことか、払う側の立場に立って考えてみれば良く理解出来るだろう。過去の支払い記録を見れば、債務者が何とか払おうとした歴史は見える筈だ。

税務署も、脱税で逃げ回った挙句での強制執行なら文句も言えないが、普通に払う意思を持った納税者を、しかも最終的には家を処分して義務を果たそうとしている国民に対する扱いとしては大いに疑問が残る。査定金額より2,000万円も安く競売に掛けたり、終わったと思っていた住宅ローンが6ヶ月後に本人への確認も無く連帯保証人に直接請求したりするなどといった処理は、私には正常な社会常識をわきまえた人達の取る手段とは思えない。

税務署や金融会社から見れば税金滞納者や払いの遅れた債務者は、基本的に何も信じてはいけない反社会的な人達なのだろうか。
こうやってあなた方が追い詰めた自営業者や零細企業の経営者は、生命保険という最後の砦にすがって家族に、自分の命を代償に何がしかの資産を残すため、無念の儘、過去何人も去っていった。

あなた方は幾らでも救済の道があるのに、ただ硬直した規則という建前を武器に債務者を追い詰めている事実を忘れないで欲しい。

仕事とは本来誇りと遣り甲斐を伴って初めて自分の喜びとなり得る。私の意見は不届き者の最後っ屁か、単なる引かれ者の小唄としかあなた方には聞こえないだろう。だが、生きている内に自分のやっていることの意味を考えて欲しい。ローン返済については他にいくらでも解決の方法は残っていたと私には思える。滞納の税金に関しても、見せしめみたいな解決法で、相場より2,000万円も安く強制処分し、落札者以外誰も幸せにしないような手段を、今一度考え直しては如何だろう。

不本意ながら、私に残された時間は無く選択肢はひとつしかない。ただ、今後の為に債務者にも大事な人生や家族があることを、そして彼らもかつては金融機関の顧客であり、かつ最終的には生命保険を利用してでもローン完済に努め、なおかつ時価で処分さえ出来れば納税の義務も果たせた国民であることも忘れないで欲しい。強制的手段は他に選択肢が無い場合の最終手段であるべきだ。XX歳を過ぎ、XXXを発症した高齢者に対する国の杓子定規な対応は正に犯罪者に対する見せしめとしか映らず、硬直した金融機関の対応もかつての顧客に対し、払いが滞った途端に掌を返したような手段しか取ろうとしない。また、こういった手法が当たり前だと認める社会にも疑問を感じる。

他に方法があるのに、と思うのは私だけだろうか。

名誉のために言っておくが、私の主張は私を特別扱いしろとの論調ではない。知恵を出せば幾らでもある解決方法を、一方的な断罪とでもいう方法で処理するところに問題がある。特に税金に関しては、こういった恐怖心で国民の納税意識と納税効率を高めるのは正に邪道だという事を理解して欲しい。それぞれの滞納には背景があり、一律に懲罰的な課徴金利を課すのは悪政そのものだ。国民は警察と税務署を敵に回すのを好まないため素直に従い、その結果税務署は往々にして独善的、強圧的になりがちだ。

金融機関も極めて閉鎖的で、子供が居る債務者の場合、何代かに亘って払う方法も充分あり得る。ドイツでは100年ローンや親子3世代ローンもあった。単に金勘定の経済の話であれば、支払う側の経済的変化で変更することはそんなに難しいことではない。債務者に払う意思と方法があれば、支払い条件は変更しても何も、誰も困らない筈だ。

金融機関のあり方と公売制度執行のあり方、及び違法性の無い税金滞納者に対する懲罰的な高い課徴金利に一考を促したい。プライム金利との極端な差は単に納税者を苦しめるだけだ。

平成27年9月11日記す

XXXX

 

この手紙は私の死後、国税庁、XX税務署及び住宅ローン会社に渡して欲しい。もし私の友人の第二弾出版が可能になったら、この手紙を含め、書き残した全ての税務署との経緯を番外編の遺稿として彼に載せて欲しい。主旨は個人的怨念の吐露ではなく、閉塞化した社会の仕組みへの提言と取って欲しい。(平成27年9月11日)


平成27年9月12日に、私にもローンの債権回収会社から残債と支払いの通知書が届いたことを記しておく。この通知書は本来なら家が競売された直後、若しくは半年後ではなくもっと早い時期に、私にまず出すべきではないのだろうか。そして私が支払いを拒否した場合のみ、連帯保証人に通知を出すのが筋ではないだろうか。家が競売になることは債権回収会社には連絡してあったし、当時の担当者には私の事情を丁寧に説明していたつもりだ。事務的に一件落着と処理する先に人間が居ることを是非忘れないで欲しい。

本来なら、この手紙は上記にある様に私の死後投函するよう指示を残していたが、考えることがあり、敢えて生前に投函することにした。(平成27年9月12日)