税務署及び住宅ローン会社・債権回収会社への最後のメッセージ
関係各位
今日、平成27年9月11日、住宅ローンの残債請求が、債権回収会社から連帯保証人である私XXXXの次男XXXXの元へ合計5,607,608円の金額で届けられた旨、次男から電話連絡を受けた。9月17日までに完済しなければ法的処置をとるとの内容だという。
公売された後、今日までローン債権回収会社からは何の連絡も無く、従って平成27年3月に3,700万円で公売された金額から、当然清算されたものと思っていたが、6ヶ月も経って突然の請求に大変驚いている。もしローンの残債があるのなら、公売直後に債務者である私にその旨、ただちに連絡するのが筋ではないだろうか。
その結果、私の支払い拒否があったのなら連帯保証人に連絡するのも或いは止むを得ないが、その確認以前に連帯保証人に請求する金融機関の姿勢には大いに疑問を持つ。連帯保証人という制度を最大限に悪用する手法は、例え回収に効果があったとしても全く卑劣な手段としか形容の仕様がない。
3年前、取引相手の会社から取引停止通告があった為、あらゆる努力をした結果、税金及び住宅ローンの支払いが出来なくなり、私としては最後に自宅を処分して清算する道を選ばざるを得なくなった。
公売前に不動産屋に査定された我が家は5,700万円であったが、この金額は住宅ローンの残債、及び延滞金利を含めた税金の総額に丁度匹敵するものだった。だが、結果として税務署は上記3,700万円の金額で我が家を公売に付した。
税金滞納の背景や、公売へ至るまでの経緯にも私なりの事情や主張もあったが、この際規則は規則として受け入れざるを得ないと思っている。
既定の月額ローン返済が難しくなったため、私は新たなローンの組み換えを提案したが、ローン会社は65才を過ぎれば住宅ローンの返済方法の変更は一切認められないと返事してきた。こういった対応しか出来ず、ただ無機質に回収を機械的に行う彼等が如何に非人間的なことか、払う側の立場に立って考えてみれば良く理解出来るだろう。過去の支払い記録を見れば、債務者が何とか払おうとした歴史は見える筈だ。
税務署も、脱税で逃げ回った挙句での強制執行なら文句も言えないが、普通に払う意思を持った納税者を、しかも最終的には家を処分して義務を果たそうとしている国民に対する扱いとしては大いに疑問が残る。査定金額より2,000万円も安く競売に掛けたり、終わったと思っていた住宅ローンが6ヶ月後に本人への確認も無く連帯保証人に直接請求したりするなどといった処理は、私には正常な社会常識をわきまえた人達の取る手段とは思えない。
税務署や金融会社から見れば税金滞納者や払いの遅れた債務者は、基本的に何も信じてはいけない反社会的な人達なのだろうか。
こうやってあなた方が追い詰めた自営業者や零細企業の経営者は、生命保険という最後の砦にすがって家族に、自分の命を代償に何がしかの資産を残すため、無念の儘、過去何人も去っていった。
あなた方は幾らでも救済の道があるのに、ただ硬直した規則という建前を武器に債務者を追い詰めている事実を忘れないで欲しい。
仕事とは本来誇りと遣り甲斐を伴って初めて自分の喜びとなり得る。私の意見は不届き者の最後っ屁か、単なる引かれ者の小唄としかあなた方には聞こえないだろう。だが、生きている内に自分のやっていることの意味を考えて欲しい。ローン返済については他にいくらでも解決の方法は残っていたと私には思える。滞納の税金に関しても、見せしめみたいな解決法で、相場より2,000万円も安く強制処分し、落札者以外誰も幸せにしないような手段を、今一度考え直しては如何だろう。
不本意ながら、私に残された時間は無く選択肢はひとつしかない。ただ、今後の為に債務者にも大事な人生や家族があることを、そして彼らもかつては金融機関の顧客であり、かつ最終的には生命保険を利用してでもローン完済に努め、なおかつ時価で処分さえ出来れば納税の義務も果たせた国民であることも忘れないで欲しい。強制的手段は他に選択肢が無い場合の最終手段であるべきだ。XX歳を過ぎ、XXXを発症した高齢者に対する国の杓子定規な対応は正に犯罪者に対する見せしめとしか映らず、硬直した金融機関の対応もかつての顧客に対し、払いが滞った途端に掌を返したような手段しか取ろうとしない。また、こういった手法が当たり前だと認める社会にも疑問を感じる。
他に方法があるのに、と思うのは私だけだろうか。
名誉のために言っておくが、私の主張は私を特別扱いしろとの論調ではない。知恵を出せば幾らでもある解決方法を、一方的な断罪とでもいう方法で処理するところに問題がある。特に税金に関しては、こういった恐怖心で国民の納税意識と納税効率を高めるのは正に邪道だという事を理解して欲しい。それぞれの滞納には背景があり、一律に懲罰的な課徴金利を課すのは悪政そのものだ。国民は警察と税務署を敵に回すのを好まないため素直に従い、その結果税務署は往々にして独善的、強圧的になりがちだ。
金融機関も極めて閉鎖的で、子供が居る債務者の場合、何代かに亘って払う方法も充分あり得る。ドイツでは100年ローンや親子3世代ローンもあった。単に金勘定の経済の話であれば、支払う側の経済的変化で変更することはそんなに難しいことではない。債務者に払う意思と方法があれば、支払い条件は変更しても何も、誰も困らない筈だ。
金融機関のあり方と公売制度執行のあり方、及び違法性の無い税金滞納者に対する懲罰的な高い課徴金利に一考を促したい。プライム金利との極端な差は単に納税者を苦しめるだけだ。
平成27年9月11日記す
XXXX
この手紙は私の死後、国税庁、XX税務署及び住宅ローン会社に渡して欲しい。もし私の友人の第二弾出版が可能になったら、この手紙を含め、書き残した全ての税務署との経緯を番外編の遺稿として彼に載せて欲しい。主旨は個人的怨念の吐露ではなく、閉塞化した社会の仕組みへの提言と取って欲しい。(平成27年9月11日)
平成27年9月12日に、私にもローンの債権回収会社から残債と支払いの通知書が届いたことを記しておく。この通知書は本来なら家が競売された直後、若しくは半年後ではなくもっと早い時期に、私にまず出すべきではないのだろうか。そして私が支払いを拒否した場合のみ、連帯保証人に通知を出すのが筋ではないだろうか。家が競売になることは債権回収会社には連絡してあったし、当時の担当者には私の事情を丁寧に説明していたつもりだ。事務的に一件落着と処理する先に人間が居ることを是非忘れないで欲しい。
本来なら、この手紙は上記にある様に私の死後投函するよう指示を残していたが、考えることがあり、敢えて生前に投函することにした。(平成27年9月12日)
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