ジャズと小噺
Jazz and Topics

(125) ブギウギと買い物


笠置シヅ子(1914−1985)

戦後まもなく笠置シヅ子の歌が聴こえてきた。「東京ブギウギ」がラジオから流れてきたのが昭和22年、私が幼稚舎1年になった年だった。

当時、渋谷氷川町の家の土地には、親父の叔母にあたるお婆ちゃんが住んでいた家と借家があった。借家には作詞家の奥野椰子夫一家4人が住んでいた。奥野さんが縁側に腰掛けて作詞していたのが「夜のプラットホーム」だった。

「星は またたき 夜 深し 鳴り渡る 鳴り渡る・・・」

二葉あき子のヒットソングとなった。古いふるい時代の話が浮かんでくる。

さてさて、我々が大学生だった1960年代の初め頃、面白い歌を知っている変わった同級生がいた。何と「買い物ブギー」の歌詞を憶えていて歌うのだ。そういうわかGもよく知っていた歌だ。

それが、2023年NHKの朝ドラで「ブギウギ」が大ヒットした。朝ドラなんて爺ちゃんは見たこともない。

75年前のことなんて知らない世代が見ているらしい。そこで、こんなページを書いた次第。


「買い物ブギ」 作曲:服部良一  作詞:村雨まさお

今日は朝から私のお家は てんやわんやの大騒ぎ
盆と正月一緒に来たよな てんてこまーいの忙しさ
何が何だかさっぱりわからず どれがどれやらさっぱりわからず
何も聞かずに飛んでは来たけど 何を買うやら何処で買うやら
それがごっちゃになりまして 
わてほんまに よ言わんわ  わてほんまに よ言わんわ
 
たまの日曜サンデーと言うのに 何が因果というものか
こんなに沢山買い物頼まれ 人の迷惑考えず
あるもの無い物手当たり次第に 人の気持ちも知らないで
わてほんまに よ言わんわ  わてほんまに よ言わんわ
 
何はともあれ買い物はじめに 魚屋さんへと飛び込んだ
鯛に 平目に 鰹に 鮪に ぶりにさば
魚は取り立て飛び切り上等買いなはれ
オッサン買うのと違います
刺身にしたならおいしかろうと思うだけ
わてほんまに よ言わんわ  わてほんまに よ言わんわ
 
とり貝 赤貝 たこに いか
海老に 穴子に キスに シャコ
ワサビをきかせて お寿司にしたなら
なんぼかおいしかろ
お客さん あんたは一体 何買いまんねん
そうそう私の買い物は 魚はうおでも
おっさん サケの缶詰 おまへんか
わてほんまに よ言わんわ あほかいな
 
丁度となりは八百屋さん
人参 大根 牛蒡に 蓮根
ポパイのお好きな ほうれん草
トマトに キャベツに 白菜に
胡瓜に 白瓜 ボケナス かぼちゃに
東京ネギ ネギ ブギウギ
ボタンとリボンとポンカンと
マッチにサイダーに タバコに仁丹
ヤヤコシ ヤヤコシ ヤヤコシ ヤヤコシ アア ヤヤコシ

ちょっとおっさん こんにちは
ちょっとおっさん これなんぼ
おっさんいますか これなんぼ
おっさんおっさん これなんぼ
おっさんなんぼで なんぼがオッサン
おっさん 
おっさん おっさん おっさん  
おっさん 
おっさん おっさん おっさん 
おっさん 
おっさん おっさん おっさん 
わしゃつん〇で 聞こえまへん
わてほんまに よ言わんわ
わてほんまに よ言わんわ
あーしんど

  

時代が変わって「差別用語」というものが公の場では使用禁止になった。

この歌の歌詞には「つん〇」という語が使われている。わかGの記憶には「めく◇」という差別用語の歌詞の入った部分があった気がしている。上の歌詞にはその部分がまったく書いていないものだ。

それから、「仁丹」という商品名がある。この当時の仁丹という言葉は普通名詞のごとく使われていたのだろう。「タバコに仁丹」だものね。

  

もうひとつ、戦前、服部良一は大阪で前野港造のバンドでサックスを吹いていたのである。その珍しい写真を見せよう。

  

さらに、「ブギウギの父」とは誰のことかご存じですか?知っていたら貴方はジャズ博士です。ブギウギはシカゴで生まれたのですよ。

⇒ ブギウギの父

(2024/5/2)


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