ジャズと雑学 |
(33) 絵の具の話とカントリー |
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90年代の初めの頃、年に一枚、たった一枚だけ絵を描くようになりました。何ていうことは無い、年賀状のためにペン画を描いているのですが、ちょっとだけ水彩絵の具で色をつけます。それ以前は大体は版画を彫って刷っていました。これはカナダのバンクーバー島です。 チューブに入った絵の具はべたべたして使いにくいので、固形の水彩絵の具を買ってきて使っていました。こんな簡単なパレット状のイタリア製の12色の固形絵の具を何処かで見つけて買ってきました。ところが、年に一枚ではちっとも減りません。 |
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日本製 |
神田の画材屋で18色の絵の具を見つけて買ってきました。色の種類が多いほうがやはり使いやすいです。こんな絵の具、一個持っていれば僕には一生もちます。この2つで二生もつではありませんか。 |
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そうしたら、工業デザインを専門とする島ちゃんが「数年に一度パレットの色の置き換えをやります」といって、こんなものを見せてくれました。 「専門家のやることは違うわい」と感心しきりだったら「子供の頃に親父に習った」といいます。島ちゃんの父親は島崎翁助という画家でした。そのまた父親は「千曲川」の藤村です。そして、しばらくするとパレットは色の置き換えが済んで、 こんな具合です。おったまげました。 わたしのショボイパレットは何だったんでしょう。そうしたら、爽ちゃんからこれと同じイギリスのメーカーRowneyの18色のパレットを送ってくれました。島ちゃんに70歳の色彩の弟子が出来た瞬間です。 |
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Sohsuke Shimazaki(1947- ) |
島ちゃんはブルーグラス・バンドをやっています。2010年夏にはOZ SONSの軽井沢合宿に参加しました。私とカントリーの歌を歌いました。秘蔵のMartin OM-45を持って来いがリクエストでした。 絵や音楽だけではありません。身体もよく動かす人で早朝の都心まで用賀の自宅からハイスピードの自転車徘徊をしたり、若い頃はスキーで石の湯の主だったようです。猪谷六合雄さんの弟子です。 |
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OZ SONSが2009年にホテルオークラで開催された大チャリティ・パーティに出演した記事を島ちゃんが自身のブログに書いたのです。それを私が偶然に見つけてしまい、連絡を取り合うようになったものです。 島ちゃんのブログはこちらです。ところが、主の名前が書いてありません。でも、いろいろ検索して何処の誰かが判明しました。
◆◆◆◆ 島ちゃんの送ってくれた英国製Rowneyの高級パレットはこれです。色彩の名前を電話で教えてくれました。初めて聞く難しい綴りのTermです。
面白いもので、絵の具そのものの色と紙に塗った色とが違って見えます。ご本家の真似をして蓋に色見本を貼り付け色彩名を書き入れました。顔料その物の色と紙に塗ったときの発色とは違うことを初めて知りました。 私の昔のショボイ絵の具は、絵の具の色=紙での発色です。素人用にはこれでいいわけです。しかし、プロフェッショナル用は、発色が美しくないといけません。そちらを優先するため画材の見た目の色とは違うようです。上の写真で比較すると誰にでもわかります。 それにもう一つ、筆に水を含ませて絵の具を溶かそうとする時、その筆応えが色によって全く違います。顔料の化学的組成が違うことに気が付きます。思わぬ勉強をしてしまいました。そこで、雑学の章に格好の題材となりました。 |
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パレットの底を見てください。島ちゃんに聞いてしまいましたよ。 「底についている輪っかは何だい?」 こんな風にパレットの底についている輪っかに親指を通して、このように支えるのだそうです。なーるほど。 これは彩色をしていなかったタワーブリッジに島ちゃんの高級絵の具で色をつけてみたものである。みなさん、さすがにRowneyはイギリスの色。そうだ、来年はロンドン五輪の年だ。(2011/9/22) |