歌と歌手にまつわる話 Story of Songs and Singers |
(220) 世界八不思議 Art Tatum |
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Art Tatum(1909-1956), 1947 |
カウント・ベイシーが「世界の七不思議」の次、「8番目の不思議」と語り、ファッツ・ワラーは「神」だと言った。明治42年の生まれです。 人間業とは思えないピアノを弾いたアート・テイタムのあまりに早い指使いを凡人が真似ると「アッと手痛む」になる。 そんなテイタムは先天的な白内障で片目は全盲、もう片方も殆ど見えなかったという。 |
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クラシック・ピアノの巨匠・鍵盤の魔術師、ウラジミール・ホロビッツがテイタムの演奏を聴きぶったまげてしまい、その翌日、義父である大指揮者アルトゥーロ・トスカニーニを連れて行き聴かせたら、トスカニーニは肝をつぶしてしまった。痛快なエピソードだ。
もうひとつ、ジャズピアノの父と呼ばれたEarl Hinesの一番大事な弟子がArt Tatumだった。 ◆ ◆ ◆ ◆ 皆さん、世界の七不思議って憶えていますか? そもそも「七不思議」とは”Seven Wonders”の誤訳です。不思議と訳したのは誰だったのでしょう。「7つの素晴らしいもの」「七つの驚くべきもの」という意味で「不思議」と訳したのは行き過ぎです。未だに修正もされず、辞書・事典にまで出ています。もともとは古代ギリシャ語で、 と書き「7つの必見のもの」という意味です。 それらには、ギザの大ピラミッド、バビロンの空中庭園、エフェソスのアルテミス神殿、オリンピアのゼウス像、ハリカルナッソスのマウソロス霊廟、ロドス島の巨像、アレクサンドリアの大灯台があります。 中世になって、ローマのコロッセウム、アレクサンドリアのカタコンベ、万里の長城、ストーンヘンジ、ピサの斜塔、南京の大報恩寺瑠璃塔、イスタンブールの聖ソフィア大聖堂と地域が地中海から中国まで広がってきます。 現代では、中国の万里の長城、インドの廟堂タージ・マハル、イタリア・ローマの古代競技場コロッセオ、ヨルダンの古代都市遺跡群ペトラ、ブラジル・リオ・デ・ジャネイロのコルコバードのキリスト像、ペルーのインカ帝国遺跡マチュ・ピチュ、メキシコのマヤ遺跡チチェン・イッツァなんだそうです。地球規模になりました。
上の記事はニューヨークタイムズの1956年の訃報である。この見出しはテイタムの凄さを伝えるタイトルだ。46歳の若さで尿毒症で死んだとある。
”Yesterday”ではありません。”Yesterdays”はOtto HarbachとJerome Kernのスタンダードの名曲です。 (2017/1/25) |
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