ジャズと雑学

(26)  1001 海賊版ソングブック

「1001」は戦後日本でジャズが再開し、日本のミュージシャンたちが愛用したスタンダード・ジャズの海賊版の楽譜集です。口コミで売られたものですが、すごい部数が売れたものと想像します。これは、プロのミュージシャンはもちろんのこと素人のジャズファンにとってもバイブルのような存在でした。まだ、満足な楽譜集が出版されていなかったのです。

音楽好きには譜面は宝物のようなものです。プロのミュージシャンにとっては命のようなものです。そこで版権を無視して、Song Bookを編集して海賊版として販売するものが現れたのです。私は大学生になったときにマンドリンクラブの友人が世話をしてくれました。1960年頃の話です。当時、ラーメンが50円でした。2000円くらいだったと思いますからいい値段していたということです。しかし、貴重品でした。

JAZZ8(ジャズエイト)は1001より後に出たものですが、吉祥寺の小さな楽器屋さんで偶然に見つけたものです。実はこれを編集したのは慶應で3年ほど後輩の中川賢二というフルバンド編曲家でした。タイトルのアルファベットのゴム印押しを手伝った的場という後輩が「けんおじですよ」と言ってきました。知らなかったなぁ。

もう一つ306という手書きの譜面を編集したSong Bookもありました。文字通り、306曲入りです。なかなかマニアックな曲が採録されていました。どこかの譜面資料からではなく、レコードを聴いて採譜したものが入っているように思いました。レコードが特定できるような譜面までありました。

1970年代以降は、きちんとした音楽出版社が海賊版でない「1001」というタイトルをつけた歌の本を出版するようになりました。

現在では、内外を問わず多くの「歌の本」が出版されています。インターネットから海外の譜面や歌集の出版社に簡単にしかもお安く注文できるようになって便利な世の中になりました。

何年か前までは、REAL BOOKとかFAKE BOOKとかいった分厚いアメリカのソングブックが、たまに楽器店やデパートの棚に並んでいて運よく買うことが出来る人もいました。これらは輸入物でいつでも買うことは出来ませんでした。値段に「0」が4個もついていました。

「1001」というタイトルは、このようなジャズやポピュラーの歌の本の代名詞として使われるようになってしまいました。1001曲入っているわけではありません。「千夜一夜」と同じです。およそ500曲見当が入っています。

このページを見て、TBSテレビが「歸國」というドラマで使用する曲を1001から選びたいと言ってきた。「何処に行けば買えますか?」という。

「家に来れば貸してあげます」と言ったら、借りに来た。3曲か4曲が使われたようだ。

倉本聰の脚本で鴨下信一の演出だという。鴨下さんのリクエストだとのこと。

六大学野球で明治大学に星野という気の強いピッチャーが出てきた。彼の父親がジャズ好きで自分の息子に「1001」という名前をつけたのではないかと思っているのは私だけらしい。

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