歌と歌手にまつわる話 |
(34) ショウ・ボート Ol' Man River | |||
|
Jerome Kern(1885-1945)とOscar Hammerstein II(1895-1960)による1927年のブロードウェイ・ミュージカル「ショー・ボート」はミシシッピを上下して河岸の街々にショーをみせる一座のお話です。 この一座の座長の娘が、いんちき賭博師に恋をするというのが主題なのですが、黒人女と白人男の南部の法律では許されない恋も描きます。 |
||
人間とは一体何なんでしょう。この中で"Ol' Man River"はなんとスケールの大きな歌なんでしょう。まさにミシシッピのスケールの大きさそのものです。みなさん、これがOl' Man Riverです。
|
Paul Robeson (1898-1976) |
1927年、最初の主演をしたのはアメリカを代表する黒人バス歌手、ポール・ロブスンです。彼の歌を学生時代に聴いて震えるほど感動したものです。 ポール・ロブスンは人種偏見と闘い、 |
もう1曲河の歌があります。黒人霊歌で名高いDeep Riverです。2大河です。
スコットランド民謡に"Loch Lomond"という歌があります。1900年代初期の歌ですから多くの人が唄ってきましたが、誰よりもポール・ロブスンの歌が私の胸に響きます。 |
|
(1998/10) |
|
2002年7月9日、ついにLoch Lomondまで行って見てきました。スコットランドでは湖のことをLoch(ロッホ)というのです。 ORの国際会議が英国、エジンバラで開催されました。2日目のセッションをサボって、カミサンとバスツアーに出かけたのです。グラスゴーから北に上っところにある大きな湖でした。写真の正面に見えている島の手前まで遊覧船がめぐっています。 自分の好きな歌に唄われた土地を見てくるというのは、一入の感動を味わうことになります。当初、変ななまりの英語と思っていたのですが、ポール・ロブスンはスコティシュで唄っていたのです。 |
Loch Lomond, 2002/07/09 |
私はOl' Man Riverを聞くとサミーを思い出します。1985年にサミー・デイビスJr.のパリでのコンサートをテレビで放映しました。そのとき、このOl' Man Riverを唄ったのです。滅多に唄わない歌だといいながら、この日は彼の巨漢マネージャーの誕生日だったので 「マネージャーのリクエストに応えさせて欲しい」 と言い、ピアノ一本の伴奏で唄いました。 サミーの目は血走っていました。すごい迫力は見る者、聴く者を圧倒しました。その晩パリのお客さんは興奮して眠れなかったのではないでしょうか。やはり、この歌はそういう歌なのです。私の持っているサミーの盤には、この歌は入っていません。この番組のビデオは宝物です。(2002/8) |
|
何時の事だか記憶にないのだが、この歌を歌う奴隷たちの気持ちになって訳詞をしたのが残っていた。オスカーさんの歌詞には何時も感動を覚える。こんな教養深い作詞家がいたなんて20世紀の前半にはすごい人がいたのです。 |
|
OL' MAN RIVER |
Here
we all work on de Mississippi Dere's an ol' man called Mississippi Ol' man river, dat ol' man river You an' me, we sweat an' strain Ah gits weary an' sick of tryin' |
俺たちゃみんなミシシッピで働くのだ ミシシッピと呼ばれる老人がいる 老人の河よ、あの老人の河よ お前も俺も、おれたちゃみんな汗まみれでぼろぼろだ あゝ、もうへとへとで疲労困憊だ (2021/4/21) |