ジャズと小噺

(21) ランプライトのハンバーガー

Takashi Arifuku

昔、南青山にAri's Lamp Lightというアメリカンスタイルのピアノ・バーがありました。80年代の中頃に神戸のジャズピアニスト、中川 和から紹介されて通うようになりました。

初めてランプライトに行ったときに、オーナー兼ピアニストの有福 隆と仲良くなりました。月に一度、最終木曜日にドリー・ベーカーという歌手が来るから是非聴きに来てくれと言われました。それで、ドリーと親しくなりました。

次に出会ったのは沢田靖司でした。有ちゃん(有福のこと)がいつもはピアノを弾いているのですが、沢チンが来ると、弾き語りになりました。自分の出番でない日にもフルートやサックスを持って現れることが多かったのですが、そういう時は有ちゃんのピアノで吹き語りをやったものです。

その次は、鈴木史子でした。彼女は有ちゃんと青山学院の同窓生でした。そんな関係で、ランプライトに歌いに来ていました。ライブハウスで歌いだして間もない頃だったと思います。

まだ居ます。トランペットの名手、中川喜弘です。有ちゃんとデキシーのバンドをやっていました。息子の中川英二郎はトロンボーンでめきめきと腕を上げて、芸大に入った頃には、親父より高級車に乗っていました。

さて、このページで書きたかったことは、ランプライトのハンバーガーのことです。当時はマクドナルドが珍しい頃です。こんなに旨いハンバーガーはありません。マックの比ではありません。文句なく東京一でした。

幼稚園の次女が「有ちゃんのハンバーガーが食べたい」と言ったものです。その娘も30をこす歳になっていますが、昨晩、ひょっこり現れたのでその話をすると「火が燃える大きなアイスクリーム」のことをよく覚えていました。

有ちゃんの店の最年少の客であったことには間違いありません。赤ん坊の時にはランプライトでグーグー寝ていました。

3月27日にFJSのコーラスの練習がAll of Me Clubでありました。そこで、ばったりと有ちゃんと会いました。

「先生、ハンバーガー食べたいか?」

「食べたーい!!」

翌日曜日に、六本木All of Me Clubで「有福隆プロデュースBBQ Night」というライブがあり、ハンバーガーを食べさせるという特別企画です。昨年に1回やったらしいのですが、私には案内がなく食べそこなっていました。最後に食べたのは98年、ランプライトの閉店する年でした。12年ぶりとなります。これは、思わぬラッキーでした。有ちゃんは2人分の材料を追加注文して作ってくれることになりました。予約がないと食べられません。余分には作らないのです。

ランプライトの時と全く同じというわけにはいきませんが、ハンバーグの味は昔と変わりません。昔はピアノバーだけでなく、ランプライトの近所に昼間はレストランを開業していたこともあります。ここにも食べに行ったものです。

今後は毎回出かけることにします。有ちゃんのハンバーガーを食べるために。(2010/3/30)


  Index       Previous Next