年頭の一枚 1998

フリンダース通り駅(オーストラリア・メルボルン)

Flinders Street Station (Melbourne)


メルボルンという街は2度参りましたが、中心部は大変にぎやかです。やはり川に面した街です。この駅はメルボルンのまさに中心の駅ですが、アデレードやパースに向かう長距離列車が一路西へ西へと旅立つのです。オーストラリアはクック船長がイギリスから囚人たちを運んで、まだ100年程しか経っていないのです。

この交差点を右にだらだら上っていくと間もなく東京の銀座通りのような繁華街があります。そこから、ちょっと東のはずれの方に歩くと高級なブティックが落ち着いた佇まいでならんでいます。

この駅の背後にヤラ川が流れています。ヤラ川を1kmほど下るとカジノがあり、博打好きの人々がスッカラカンになって、川に面した安いファーストフード屋で粗末な食事をとっている風景にも出会いますし、運良く大もうけをした人たちが高級なハンドバッグや装飾品などを買うという対照的な風景にも遭遇するのです。そういう店が軒をならべているのが傑作です。

人生すべからく泣き笑いですな。

ここでは音楽はないのかって?とんでもない、ジャズが流行っているのです。わたしの1985年以来の友人の教授がここに住んでいますが、ハーバーの見える屋外のレストランで、のんびり昼飯を食べながら話しをしました。彼が東京大学に研究に来ていたとき、われわれの学会のアジア・太平洋地域の連合組織を作ろうと第1回の理事会をやったときからの旧友です。彼には当時、中学生の息子Benがいました。「どうしている?」とたずねると、「ロイヤル・メルボルン大学の数学科を卒業してジャズ・ミュージシャンになっちゃった。毎日のようにライブをやっている」とあきらめ顔。

その晩、ライブのある宿屋(inn)のラウンジに行ってやると、おやじから聞いていたらしくステージでわたしに手を振っているのです。アルトサックスを吹いていました。わたしは彼に呼ばれてステージの上、「それじゃあ折角だから」と"Satin Doll"を歌ったらオージー(Aussie)たちに馬鹿うけ、自分のテーブルに戻るとみんなから握手攻めにあいました。何処に行っても馬鹿やっています。

"Thank you Ben. See you on the stage again."

原画(はがき大) Rotring Art Pen Graph(0.1mm)