Mr. Bojangles
music & lyrics : Jerry Jeff Walker
1965

 

Mr. Bojanglesをいつか歌ってみたいと思いはじめてから20数年が経ってしまった。1965年頃にカントリーの歌としてシンガーソングライターのJerry Jeff Walkerが作り、68年にレコードを出した。それをSammy Davis Jr.が「自分のための歌」と言い、死ぬまで愛唱してやまなかった歌である。

サミーは原曲を完全にジャズにしてしまった。そのサミーは1990年に喉頭がんで死んだ。あらためて考えてみると、たった20年足らずの期間しか歌っていないのである。しかし、サミーのこの歌を忘れられない強烈な印象をもって聴いたことに違いない。

2001年は私の還暦とかいう年にあたる。それこそ何百曲という歌をこれまでに歌ってきたはずだが、Mr. Bojanglesだけは自分にとって特別な歌なのである。そこで、10年ほど前に自作したMr. Bojanglesのカラオケ・フロッピーを箱の隅から引っ張り出して還暦記念に録音しておこうと考えた。

「なぜ、この歌なのか」が聴いてみてわかっていただければ幸いというものである。

これはこの1曲のためだけの記念CDで歌う動機を書いたライナーノートである。

サミーのボージャングルを聴いたのは73年だった。父親のSammy Davis Sr.とのトークが入ったLPだった。そこで、実在のMr. Bojangles=Bill Robinsonの話が出てくる。サミーにTapを教えた先生である。この歌を歌っていると歌の中の主人公ボージャングルがBill Robinsonと重なってしまうのである。


Sammy Davis Jr.(1925-1990)

これを聴いて以来、サミーの歌ったMr. Bojanglesのレコードを6種類見つけて全部聴きまくった。1984年のパリ公演で歌ったMr. Bojanglesは鬼気迫るものがあった。NHKのテレビで2度ほど放送した。

単なるカントリーの歌が、ジャズワルツの極上ソングとなった。

この曲に関しては伴奏譜だけを書いた。歌の譜面は書いても面白くもないし、意味がない。そんな歌はこの歌以外にない。

というわけで、これは2001年1月5日の録音である。(2013/3/25)


Lyrics

I knew a man Bojangles and he danced for you in worn out shoes
俺は、破れ靴を履いて踊る「ボージャングル」という男を知っていた。
with silver hair, ragged shirt, buggy pants, he would do the old soft shoe.
しらが頭に、よれよれのシャツ、だぶだぶズボンで古い踊りをやった。

He could jump so high, jump so high, and then he lightly touched down.
彼は、こんなに高く跳び上がったんだぜ、こんなに高く。そして、軽やかに降りるのさ。

I met him in a cell in New Orleans I was, but I was down and out.
彼にはニューオーリンズのぶた箱で会った。おれは落ち込んでいた。
He looked to me to be a very eyes of age, as he spoke light out.
俺には彼が年に相応しく見えた。彼が話し出すとね。
Talked of life, talked of life, laughed, slapped his leg a step.
彼は人生を語った。人生をね。そして、笑い、膝を打ってステップを踏んだんだ。

He said his name was Bojangles and he danced a lick light across the cell.
彼は名を「ボージャングル」といった。そしてぶた箱をなめるように横切って踊った。
He grabbed his pants, took a better stance, jumped up high,
ズボンをつまんでは、スタンスを決め、高く跳んでは
That’s when he clicked his heels.
「かちっ」と踵を鳴らした。
Then he let go a laugh, Lord, Lord, Lord he let go a laugh,
そして、あの高笑い、…、
Shook back his clothes all around.
上着をひらりと回しながら。

That was Mr. Bojangles, Mr. Bojangles, Mr. Bojangles
あれはMr. Bojangles, Mr. Bojangles, Mr. Bojangles,
Lord, he could dance.
踊りの上手な男だった。

Told me other time, he worked with Minstrel shows,
或るとき、ミンストレル一座で働いていた話をしてくれた。
Traveling through out the south.
南部を旅して回っていたんだと。
Spoke with tear of fifteen years how his dog and he
涙ながらに、その15年間、彼の犬とどんなふうに過ごしたかを話してくれた。
They used to travel about.
ずっと一緒に旅していたんだ。
But his dog up and died, the dog just got old and died,
だけど、その犬が死んでしまった。ただ、老いぼれて死んでしまったのだが、
After twenty years he still grieved.
20年経ってもまだ悲しいという。

He said “I dance now at every chance in honky-tonks for my drinks and tips.
「今じゃ、機会があると安酒場で酒代稼ぎに踊っているのさ」
But most the time I spend behind these county bars
「しかし、ほとんどの時間は郡の鉄格子の中で過ごしてるのさ」

You see son I drinks a bit.”
「分かるだろ?俺はちょっぴり飲みすぎるのだ」
Then he shook his head, Lord, God, when he shook his head,
彼が首を振ったときだ、首を振ったとき。
I could swear I heard someone said “Please”.
おれは、確かに聞こえた。誰かが「プリーズ」と言うのを。

That’s Mr. Bojangles, Mr. Bojangles, Mr. Bojangles, come back and dance.
あれはMr. Bojanglesだ。Mr. Bojanglesだ。戻ってきて踊っておくれ。
Mr. Bojangles, Mr. Bojangles, Mr. Bojangles, dance.
ボージャングル、もう一度、踊っておくれ。
Come back and dance. Mr. Bojangles.
もう一度、踊っておくれ。ボージャングル。



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