歌と歌手にまつわる話

(107) ジョン・ピザレリ Hit That Jive Jack!

ジョン・ピザレリ、John Pizzarelliが最初に来日したのは1990年だっったそうです。昨晩、Cotton Clubでのライブで、そう言っていました。

名前からわかるとおりイタリア系のアメリカ人です。ご先祖は「ピッツァ売り」だったのでしょうか。お父さんのBucky(1926-2020) は7弦ジャズギターの奏者で有名です。既に10代の頃から親子でライブをしていたといいます。1980年には「2×7」という7弦ギター2台の親子デュオ・レコードがあります。

血を引いているのです。ピザレリ一流のギターのアドリブとスキャットには舌を巻くしかありません。スピードと音域の広さでたまげさせるのとは対照的に、ソフトで力まない歌がまた最高なのです。ファンが多いわけです。

ビートルズナンバーが完全にジャズに昇華されています。「なるほど〜」とうなるのみです。


John Pizzarelli(1960- )


John and Bucky Pizzarelli

こういう歌手のライブは、古典落語の噺家の高座に通ずるものがあります。

スタジオ録音されたレコードやCDとは、まったく違って聞こえます。まだまだ、かれは若いですから今後25年位は日本に来続けて唄い続けることでしょう。また、見に行きたくなる、聴きに行きたくなる、そういう本当のアーティストなんだろうと思います。歌はさらにさらに円熟の境地に入っていくものと確信します。シナトラとはまた違ったカラーで大歌手に仲間入りしてくるに違いありません。

今夜もサービス満点でたくさん唄いましたが、圧巻だったのは”Hit That Jive Jack!”でした。古くはNat King Coleが爵士楽堂が歩き出した頃にレコードを出しています。山本五十六、真珠湾攻撃の2ヵ月くらい前のことです。

圧巻だったというのは、スキャットとギターがあったからです。調子がよくて面白そうな歌なのですが、昔から何故か私には平凡に聞こえる歌でした。自分で唄おうとは思わなかった歌のひとつです。しかし、ピザレリは歌と半端ではないギターとスキャットの「三つ揃い」です。まことに強い武器を持ったユニークな歌手です。脱帽です。(2009/6/19)

Hit That Jive, Jack


Bucky Pizzarelli, Master of the Jazz Guitar, Is Dead at 94

He became a mainstay of the New York jazz scene, often performing with his celebrated son John. He died of the coronavirus.

The guitarist Bucky Pizzarelli with the bassist Jerry Bruno in 2011. He was among the few guitarists of his day to play an instrument with seven strings rather than the customary six. Credit...Susan Stava for The New York Times.

バッキ―・ピザレリがコロナウィルスに感染し4月1日に死去した。94歳だった。R.I.P.

(2020/4/4)


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