歌と歌手にまつわる話

(56) 帰ってくれれば嬉しいわ You'd Be So Nice To Come Home To
(in English, click here)


 
Helen Merrill(1930- ) 

日本ではヘレン・メリルが流行らせた歌です。彼女は1967年から1972年まで日本に住んでいました。CDに印刷されたこの歌のタイトル「帰ってくれれば嬉しいわ」は大橋巨泉の誤訳です。

原題は「僕がうちに帰って来たとき、君がそこに居てくれたらいいのにな」という意味なんですよね。彼女か彼氏が帰って来たらいいな、ではないのです。

また、この歌は女性の唄う歌と思っている人が多いのですが、むしろ男性の口説きの歌と解釈しています

ヘレンの色っぽい歌声は「紐育の溜め息」とよばれていました。知り合いの中日放送の人に切符をもらって、その大人の溜め息を18歳の時分にひとりで聴きにいったのですから私も変わった少年でした。これはヘレンの初来日だったと思います。

そのチケットをもらいに銀座の中日放送のビルに行きエレベーターが開いたとき、飛び出してきたのは何と日真名氏だったのです。「あっ、日真名さん!」と言ってしまいました。日真名さんは「はいーっ」と答えました。例のパイプをくわえていました。


Helen and Fuyuko
わたしの友人の愛妻、西里(山下)扶甬子さんが近年ヘレン・メリルのイベントのプロデュースをしているという話をきいて、また、世間の狭さに驚いています。尺八の山本邦山(現芸大教授)はジャズ・ミュージシャンとの共演など、あたらしい試みをしている邦楽家ですが、ヘレンとの親交も深いようです。扶甬子さんは邦山先生と友人ですので、このような関係になったものでしょう。

99年4月には、南青山のBlue Noteで久し振りのヘレンのライブが聴けるようです。41年(ほんとは39年)ぶりにため息を聴きに行けるかもしれません。

後日談ですが、やっぱり行きました。扶甬子さんと邦山さんと一緒でした。楽屋にも行って昔話をしたら、

"Oh! it's yesterday"。過去のことは、すべて"yesterday"なんだそうです。

しかし、もうすぐ70歳になるおばあさんとは思えない若さです。

その後も、毎年のように来日しています。富士通のJazz Elite 2006にも出演しましたが元気で唄っていました。よくがんばっていると思います。


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