歌と歌手にまつわる話

(25) The Lady Is A Trump は世相批判
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Kim Novak(1933- )

"Pal Joey"はRodgers & Hartが37年に書いたブロードウェイ・ミュージカル、57年に映画化されました。映画の邦名が「夜の豹」。変な題名です。シナトラがプレイボーイの歌手Joey役。昔、ストリッパーの踊り子(リタ・ヘイワース)が今は大富豪の未亡人におさまり貴婦人ぶっています。シナトラはその鼻持ちならない金持ち女を前にして"The Lady Is A Tramp"を唄うのです。店が閉まってから現れたあばずれ女に強烈な皮肉をこめて唄うのです。この歌の歌詞を額面どおりに受け取ってはいけません。歌の文句は、

夕食を8時までなんて待っていられない
劇場に遅れてやってくるなんて嫌い
・ ・ ・ ・
男爵や伯爵たちとサイコロなど振らない
高級毛皮と真珠などで着飾ってハーレムなど行きたがらない
・ ・ ・ ・
それはレディは気まぐれだから

という内容なのです。もともと、この歌詞とは逆に当時は女性が遅い時間に飯を食ったり、ショウにはわざと遅れて行ったり、不相応に着飾ったり、こんなことをしては目立とうとする風潮があり、そんな世相を作者たちが暗に批判したかったのです。

昔のソングライターに漂う大人の分別と小粋な歌作りの味を現代人にも分かって欲しいのです。彼らは本当の大人ですから、足がしっかり地に付いているのです。この映画の頃のキム・ノバークはじつに美しかったです。たしか"My Funny Valentine"は彼女がリバイバルさせたのです。"Bewitched"もシナトラが唄っています


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