ジャズと雑学

(12) オープン・ハーモニー
昔から男声カルテットのコーラスは、上から2つ目のパートがメロディを唄うのが普通でした。つまり、2nd テナーがメロディを受け持つわけです。要するにダークダックスがこのスタイルです。 これは、バーバーショップ・コーラスが1800年代に作り出したコーラスの形式です。

まんがさんがメロディ、パクさんが大体3度上を唄い、下駄さんが5度、象さんがオクターブ下で支える、といった具合です。これをクローズ・ハーモニー(close harmony)と呼びます。

それを、一番上のパートにメロディを持っていってしまったのがフォー・フレッシュメンで最初の試みだといわれています。そのためには、通常より4度から5度は高い声でメロディが唄えるシンガーが必要となります。このようなフォー・フレッシュメン・サウンドをオープン・ハーモニー(open harmony)と呼ぶようになりました。女声を加えれば簡単なのですが、声の幅がなく力強さに難点が出てしまうわけです。

クラシックの方でもオープン・ハーモニーとクローズ・ハーモニーという用語がありますが、普通、上の3声の範囲に同じ音を含まないのを密集和声、そうでない場合を開離和声と呼びます。厳密には違った意味合いがあるようです。


Yasuo Tai

 


Tohru Shimada
(1953- )


日本人の声帯では大体無理なのですが、タイム・ファイブの田井さんは特別なのです。タイムの皆さんとは顔なじみなので、時々はライブを聴きに行ったりするのです。「最近は何やってんの?」なんて気さくな人たちです。

いや、もう一人いるのです。80年代の後半に一時的にサーカスのメンバーをつとめた広島生まれの嶋田トオルという男がおります。彼の音域は驚異的で3オクターブ以上を唄ってしまいます。サーカスを去ってから、多重録音で一人コーラスのCD「東京天然色」というアルバムをコロムビアからリリースしました。曲によっては12声で吹き込んでいます。

吹き込みのときにコロムビアのスタジオに聴きに行きましたが、録音室のとなりの部屋では、今唄っているパートの音しか聞こえてきません。メロディ以外はヘンテコな音で頭が変になってしまいました。

彼はわたしの一回り下のナイスガイです。自分のグループも持ちましたが、なかなか売れません。現在は、主にヤマハ関係のボーカル・スクールで先生をやっています。

しかし、彼らは裏声を上手に使っているのです。フォー・フレッシュメンのオリジナルメンバー、ボブ・フラニガンは常に地声で2点C(C6)まで平気で唄っていました。ですからボリューム感が違いますから迫力満点です。


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