ジャズとコーラス

(49) アメリカ版スリー・グレイセス Requiem 


Three Graces

なんとスリー・グレイセスというグループがアメリカに2006年に出現し、2008年にデビュー盤をDeccaから出したと思ったら、ろくにヒットもせずあっという間に立ち消えていきました。

私たちを大きな舞台に引き上げてくれたのは日本のスリー・グレイセスです。グレばーさんのプロデューサーの藤原に「おい、アメリカにスリグレが出たぞ。グループ名の商標登録は大丈夫なのか?」と聞いたことがあります。

この人たちのジャンルはClassic Crossoverだといいます。われわれには「クロスオーバー」といえば、Jazzにロックや電子音楽が混ざった音楽形態のことです。

3人の出身はクラシック、ポップス、ブロードウェイミュージカルだそうです。クラシックにポップスとミュージカルが混ざったものといいたいらしいです。それでClassic Crossoverなのです。

このグループのたった1枚のCDのトップに”Requiem”というタイトルのコーラスが入っているのにびっくりしました。珍しいのでお聞かせしましょう。いや、お見せします。北欧スエーデンの作曲家が作曲したものだそうです。”Kyrie”はありません。聴いて、もう一回驚きました。

 

    

その1枚こっきりのCDです。おじいちゃんはこのジャケットを見て驚きました。ドキッとします。

入っている曲を聴いてみましたが、面白くありません。これじゃヒットするわけありません。でっかい声で歌うだけで、ジャズでもポップスでも、かと言ってクラシックと言ったら声楽家に没にされる。一番出来の良いのが”Requiem”だが、鎮魂曲がヒットするわけはない。まあ、あまり賢い作品とは言い難い。 

通常、コーラスグループの名称には定冠詞が付きます。”The Golden Gate Quartet”、”The Platters”というようにです。ところが言うまでも無く”The Three Graces”はギリシャ神話・ローマ神話の「三美神」のことです。というわけで、彼女たちのグループ名には”The”が無いのでしょう。それだけは、思慮深いと言えます。

  

さて、ジャズ爺が高校・大学時代に「慶應義塾楽友会」という合唱団に入っていました。そのサークルの部長、岡田忠彦師匠の音楽の授業に感銘して入部したのです。この合唱団では、1961年の第10回定期演奏会にモーツァルトの「REQUIEM」を演奏しました。その後、岡忠師匠のアイディアで「楽友の誰もがモツレクを演奏できるよう、4年に一度はモツレクを」という習慣が出来ました。


W.A.モーツアルト「REQUIEM」
指揮/岡田忠彦
管弦楽/ワグネル・ソサイエティー・オーケストラ
独唱/土井富美子(S) 、西内玲(A) 、波多野靖祐(T) 、田島好一(B)

毎年、演奏会の最後の出し物は、ミサ曲や鎮魂曲をオーケストラの伴奏で演奏することになっていました。モツレクはその中でも最高峰を行く曲でした。ガブリエル・フォーレのREQUIEMも印象深い曲でした。

(2014/3)


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